夢(ガンダム)

□君に囁いた言葉は…。
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「ただいま。」






いつもなら聞こえてくるはずの「おかえり」の声が、今日は聞こえなかったことに疑問を持つ。

出かけているのだろうか?

そう思いながらリビングへ向かうと、リビングからは明かりが漏れていた。

もしかしたら、ソファの上で眠ってしまったのかもしれない。









「アリア?いるの?」



そう尋ねながらリビングに入ると、ソファの上でテレビを見ながら固まっているアリアがいた。



「アリア?」



呼び掛けながら肩に手を置くと、ビクリとアリアの体が跳ねた。






「…カトル?」

「うん、僕だよ。ただいま。」

「おかえり…」



弱々しくそう呟いた後、僕の体に腕を回して胸に顔をうずめた。






「アリア?どうしたの?」

「…テレビが、ね?」

「テレビ?」



アリアの言葉にテレビを見ると、「本当にあった怖い話」というタイトルが右上に出ていた。

…なるほど。

粗方、興味本意で見ていたら本気で怖くなってしまい、そのまま固まってしまっといったところだろう。

すがりつくように抱きついている身体は小刻みに震えていた。






「もう大丈夫。僕がいるから、ね?」



コクコクと頷くアリアの体を包み込むように抱き締め、頭を撫でる。






「…そんなに、怖かったの?」



そう尋ねれば首を横に振るアリア。



「カトルが、帰ってこないから…不安になった。」

「っ!……反則だよ。」



そんなことを、考えていたのか…。






「バカだね。僕はどこに行ったってアリアの元へ帰ってくる。僕の帰る場所は、アリアの所だけなんだから。」

「うん。」






嬉しそうに頷くと、アリアはやっと僕の胸から顔をあげて「おかえり」といつもの笑みで言った。






「うん。ただいま。」









僕たちはどちらからともなくキスをした。
















君に囁いた言葉は…
(たった五文字の愛の花)








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