夢(ガンダム)
□さりげない優しさ。
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「ん……ここは、」
ヒイロの部屋だ。
どうして自分がこの場所で眠っていたのか分からなくて、記憶をたどってみる。
「そうか。…ヒイロに倒れ込んだんだ」
迷惑は、かけたくなかったのに…
そう思っても、今更遅い。
「気が付いたか」
扉を開けて入ってきたのは、水とお粥を持ったヒイロで、無表情ながらも少し安堵の伺える表情をしていた。
「…ごめんね。迷惑かけた」
「そう思うなら、もう少し自分の体を労れ」
「…おっしゃる通りで」
みんなの機体の修理を早く済ませてあげたくて、今日で完徹五日目だったことを思い出して苦笑い。
お陰で、全ての調整はついたものの、ヒイロや他のみんなにそれを伝える前に倒れてしまった。
…そうだ!伝えなきゃっ!!
「ガンダムの調整がついたということは伝えておいた」
「え?ホント?」
「あぁ」
気のきく彼氏で良かったとつくづく実感。
ヒイロは優しいなぁ〜
なんて思っていると、ズイッとお粥を差し出された。
…所謂、「あ〜ん」状態。
「え?ヒイロ?自分で食べられるよ?」
「……腕を痛めているだろう。労れと言ったはずだ」
「…気付いてたんだね」
使いすぎて腱鞘炎を起こしている両腕がズキズキと痛んだ。
「ほら、」
「あ、うん。あーん」
見事「あーん」でお粥を完食した後、なぜか水と薬までヒイロに口移しされた私は、薬のせいか、はたまた五日間続いた完徹のせいかは分からないけれど、急に眠気に襲われた。
「ん。ん…」
「ゆっくり休め」
最後に私に微笑みかけるヒイロを見た後、私は深い眠りについた。
さりげない優しさ。
(私だけが知ってる)(彼の素顔)
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