果てしない幻想
□瞳
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「えっ?」
おれは思わず聞き返した。
先生の手には封筒。
「でも、おれ高杉ん家知らねぇし・・・」
「これが地図です。・・・行ってきてくれますね?この教室には貴方しかいないのですから」
そんなふうに言われると断れなくなる。
おれは頷いた。
「遠い・・・」
高杉の家、遠すぎだろ・・・
1時間は歩いている。
先生に怒られっかな・・・
なんて思ってたら、高杉と書かれた表札があった。
ここが・・・
高杉の家はシンプルな2階建ての家だった。
おれはインターフォンを押した。
<ピンポーン>
何秒かして声が聞こえてきた。
「はい・・・」
「あ、あの、た、高杉君と同じクラスの者ですけど・・・」
「・・・何の用だ、銀時ィ・・・」
「えっ!?た、高杉!?おめぇーが学校サボるから、おれがおめぇーの分の封筒を届けなくちゃならなくなったんだよ!!」
イラ立ち気におれは言った。
すると、
「封筒?封筒なんて配られたか?」
とわけのわかんねぇこと訊いてきた。
「配られてねぇよ。んなもん」
すると、高杉は黙った。
そしてこう言ってきた。
「すぐ近くにゴミ捨て場があるだろ?そこに封筒ごと捨ててきてくれ」
「はぁ!?」
なに言ってんだ、このチビは。
人がせっかく届けにきてやったのに。
「おいっ!なんでだよっ!」
高杉はまた、黙った。
そして、
「おれが左目を隠す理由、知りたいだろぉ?」
と言ってきやがった。