企画
□坊誕生日小説
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綺麗な夕日が差し込む教室で、あたしは一人睡魔と戦っていた。
そう、今日はあたしの彼氏の坊の誕生日。
だけど学校でテストがあるわ、塾があるわで…
結局誕生会とかの準備の時間は大量の宿題のせいで呆気なく消え。
そんな少ない時間の中で用意出来たのは小さなプレゼントのみ。
パーティーなんて大層なものは出来ないけれど、せめて今日中にプレゼントを渡したくて。
分からない所を聞きに行った坊を待っている、という訳だ。
しかし、テストで全体力を使い切り、なおかつ塾で実戦をさせられたあたしの身体は睡魔に勝てるほどの力はもう残っていなくて。
今にも瞼がくっつきそうになる。
ここで寝てしまったら坊が帰ってきたときにプレゼントを渡せない、と分かっていてもだんだんと重くなっていく瞼はもう開けることは出来なくて。
あたしは逆らうことなく夢の世界へと飛び込んでいった。
※※※
どれくらい寝ていたんだろう?
廊下から聞こえてきた足音によってあたしの頭は少しだけ現実へと引き戻された。
「おい…いつまで寝とるんや。
いい加減起きぃ」
『ん…っ、坊…?』
徐々に視界が開けてきて。
一番始めに見えたのは、あたしが今一番会いたかった人だった。
『ぼーんっ!!!』
「え、っうわ!」
なんだかちょっとだけうれしくて、抱き着いてみる。
慣れないことをしたからか、思いっきり頭をぶつけたけど。
「お前…何がしたいん?」
『あはは…ごめんごめん。
起きたら坊がいたからうれしくって、つい。』
「ったく、このあほ…。
もう遅いし帰るぞ」
『うん…あ!
待ってっ!!』
今更になってプレゼントの存在を思い出した。
渡すなら、今しかないよね。
『これ…ちょっとだけど。
お誕生日、おめで…きゃっ?!』
「うわー…覚えとってくれたん?
うれしいわ。」
プレゼントを出した瞬間、坊に抱きしめられた。
ドキドキドキ…。
胸が高鳴る。
『う、うん。
あたしほんとはパーティーとかもやりたかったんだけど、時間なくて…。
ごめんね?』
「俺ん事ちゃんと知ってくれはってるんやな…。
ほんまに、好きやわ……」
あたしのプレゼントに頬を綻ばせる坊。
それを言うなら、あたしだって…。
『坊…。
あたしも』
「…ん?なんやて?」
『…もう言わないっ!』
さっきの甘い雰囲気はどこへやら。
坊の言葉によってぶち壊しだ。
あたしは坊の腕からスルリと抜け、今日の外へ走っていった。
「ちょお、待ちぃやー!」
『やだよー!
坊さんこちら、手の鳴るほうへ〜♪』
本当は照れ隠しなだけなんだけど。
坊も楽しそうだから…まぁいっか。
――あのね、
あたしはまだ子供だから。
もう少し大人になったら君に伝えるよ。
あたしの最大限の
"大好き"を…――
-fin-
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2011.08.20に坊の誕生日小説として出してたもの。
甘いね…笑
.