青い空と真赤な君

□2nd
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「〜♪」

さすがメフィ兄!!
僕の趣味を分かってくれてて良かった!!


大好きなタオル生地のぶかぶかなパーカーを身につけて
兄からのプレゼントを眺める


「この枕、ほんっとふかふかー…」

目的の扉の前で早くも眠気に襲われながらも
ポケットから先ほど手渡された鍵を探す。




「あれ?名無しさんくんやないの」

「ほんまですか?!あー!名無しさんくん、久しぶりです!!」

「名無しさんってあの名無しさんか?!!」



……まずい。

聞き覚えのある声が自分の名を呼び
自然と冷たい冷や汗が背中を伝い落ちる。


「なんやほんま久しぶりやなー」

「そうですね!」

「お前ら久しぶりっつってもほんの2週間前に会ったばかりやないか。」


ヤバいヤバいヤバい

本当にヤバい!!

2週間前にこっちに綺麗な湖があるって聞いてメフィ兄に内緒で結界を改造して入った時に会った奴らじゃん。


しかも、しっかりと力使ってんの見られたし…


あ、これ終わったな。
素性、既にバレてるじゃん。


「あはは…廉造に子猫に勝呂、じゃん。ひさし、ぶり」

「名無しさん、随分顔ひきつってるなぁ」

「それは志摩さんの顔が近すぎやからですよ」

「ほんま、はよー離れんか!!」

「坊も子猫さんも怒らんといてくださいよー」


顔が近いとかそーいう問題じゃなくって
今この状況に凄く顔がひきつる


はぁ……
今すぐ力があったらこの3人の記憶を消したい


「はぁ…一応バレてるとは思いますが、僕、何だと思う?」


「は?何って手品師やろ」

「あー確かそないなこと言ってたなー」

「志摩さんは記憶力ほんまにないですね。この間ボーンっ!!ってなんやよう分からん手品見せてくれたやないですか」

「あぁ、そないなことやっとったなぁ…」

「手品師?」

「名無しさんが言ってたんやないか。」

「あ、あぁそうだよ!て、じなしだよ!!」


ぉおおお

ナイス自分!!

咄嗟の嘘がこんなに役に立つなんて思いもしなかったよ。


とりあえず力が手品ってことにさせといて
このことは他言させないようにしなきゃ


「えっと、この間のこと誰にも言わないで欲しいんだ」

「っ…ぉ、おお」

「わー坊、真っ赤やん。」

「うるせぇっ!!」

「まー確かに名無しさんくんはほんま可愛いし、赤くなる気持ちも分からんことないですがね」

「……子猫さんも侮れないですなー」


「ぅ、言わないでくれるならなんでもいいんだけど。」



そうだ。
これでこの3人が他言しなければ
とりあえずこの枕は死守できる!!

「そういや、なんで名無しさんくんがここに居るんですか?」

「今日から祓魔塾ってとこに通うんだ」

「あー!!ってことはさっき奥村センセが探してはったで」

「え、あ。誰かと一緒に来るんだった。」

「はよう行ってこい!!」

「うん。分かった」


とりあえずこの3人は大丈夫そうだな。

3人が善意のある人で良かった。



ほっとしてもと来た道を戻っていこうとすると

学校にしては広すぎるぐらいの綺麗な水の池を見つけた。


「凄い…綺麗な水鳥もこっちにはいるんだな……ふ、ふぁぁ」


夕日が傾き
池の水面も鮮やかなオレンジ色に反射し

ゆらりゆらりと
少年を眠りへ誘う。




「メフィ兄…ごめ、ん……もうすこししたら……」

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