青い空と真赤な君

□3rd
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「なぁなぁ、雪男ー。コイツまだ起きねぇよ?」


「よっぽど疲れてたんだろうね……まぁそっとして置いてあげようか。」




遠くて近いところから声がする。
ふわり、ふわりと漂う意識の中でその声をきき、

あぁこれは夢なんだ、と実感した。



「んっ…」


「あ、やべ。起きた」


「兄さんが煩いからだよ。」



実感したら目覚めてしまう
それが夢。
理解はしてるんだけど



「もっと寝てたかった……」



やはり少し不機嫌になってしまう。



「まだ寝たりないんですか…はぁ…困りましたね、でも、もう夜なんですけど」


「え?夜って、あ!!授業!!」


「やっぱり貴方が名無しさんくんだったんですね。」


「あ、うん…って、先生?」



見た目、メフィ兄より若いけど
丁寧に発せられる言葉使いは、先生のソレっぽい。



「そうですよ。祓魔塾で講師をしています、奥村雪男です。で、こちらが兄の奥村燐です。」


「兄…?」


「あ…兄と言っても双子なんですけど。」


「よろしくな!!名無しさん!!」




奥村燐
そうかこの人が…



「僕の弟?」


「は?」


「だって君、確かサタンの子供だよね?」


「ッ…!!」



一瞬の動揺を見せた少年は一瞬にして剣を構える。

その目に映るのは青い炎で
自らの存在の証拠を見せられているようなものだ。



「ちょっと、兄さん剣、抜かないでって。…えっと、ごめんなさい。兄はつい最近アマイモンとちょっと色々やってきたばかりで…」


「あぁ、アマ兄が迷惑かけたんだよね。…こちらこそなんかごめんなさい。」



あの血の気が多い兄のことだろう。
そうとう派手に遊んだに違いない。



「アマ兄…?」


「あーそっか、兄さんには言ってなかったよね。名無しさんくんは悪魔で…」


「水の王だよ。だからメフィ兄とアマ兄の弟」


「へえーそっか…ってなんで悪魔が祓魔塾に入るんだよ?!」


「兄さんだって人のこと言えないでしょ」


「俺はサタンを倒すんだ!!」


「へー、父さんを…なんか面白いね、あ、僕は燐、君を守りに来たんだよ。」


「俺を…?」


「うん。詳しくは言えないけど、これからよろしくね。」


「ぉ、おう…」



末の弟って父さんがわざわざこっち来て造った子なんだから
どんな子かと思ってたけど、

案外面白くていい奴で良かった。


今日1日で色々ありすぎたけど
なんだか今、凄くほっとして
また眠くなってきたな…




「これって枕?って、ぅおお?!」


「ぅー…ね、むぅ…んー…」


「って、また寝ちゃったね」



スヤスヤて寝息を立てる少年を横に


「寝顔、随分可愛いな…」

「だね…」




少年二人は、何か新たなものが芽生え始めたのであった。

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