伝説の七賢者と魔神

□序章「始まりは鐘の音で」
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あれから三年。
僕は兄と過ごしていた家を捨て、旅に出た。
自分が伝説の七賢者の一人『疾風の道化師』だと気付いたのは旅に出る二週間前。
左目に激痛が走った。
激痛が収まった後、鏡を見た時は驚いた。
左目にトライフォースが刻まれ、色が緑からオレンジへと変わっていた。
今でも変わっていないので、とりあえずカバーで隠している。
フィローネの森に入った時、何かが飛んできた。
よけて後ろを見ると矢だった。
飛んできた方を見ると緑の服を着た青年が矢を向けていた。
その人は再び矢を放った。
よけた、はずなのにカバーをかすった。
カバーがゆっくりとれる。

「……!お前……」
「!……み、見ないで!」

僕は慌てて左目を抑える。
すると青年が近づいて来て、僕を背負った。
「な、何をする!下ろして!」僕は彼の背中で暴れると彼が僕を見た。
「あ、暴れるな!落ちちゃうぞ、左目のカバー壊しちゃったし。代わりの物付けてやるよ」彼は照れくさそうに言う。
僕は彼の肩に手を置いて「……そう、悪い人じゃないんだね。ありがと」と言った。



「よし、これでOK」

ちゃんとしたカバーを付けて貰った。
カバーを付けて貰う時、彼の左手の甲にトライフォースが刻まれていた。
「ね、ねぇ」勇気を出して彼に声をかけてみる。
意外とイケメンだからこっちまで照れる。

「君、そのトライフォース……君も伝説の七賢者なの?」

すると彼は僕の隣に座って頷いた。
――仲間。
なんでだろう、凄くうれしい。
「俺はリンク、光の勇者って言われてる。伝説の七賢者『時の勇者』だよ」彼――リンクは自己紹介してくれた。
「僕はクリュウ・ライド。『疾風の道化師』だよ。あの、さっきはありがとう」お礼を言うと「べ、別にいいよ///」彼は顔を赤くして言う。
僕まで照れくさいよ全く。

「リンクは……何歳?」
「俺?俺は16歳。クリュウは?」
「13。やっぱり年上なんだね」

僕は微笑む。
すると「おーい、リンクー!」と外から誰かが彼を呼ぶ声が聞こえた。
彼がドアを開ける。
そこには金髪のおじさんが居た。
僕はリンクの後ろに隠れる。

「いたか。コリンが呼んでてな……あれ?リンク、その子は誰なんだ?」
「あぁ。さっき知り合ったクリュウ・ライドっこです。モイに警戒してるだけですよ」

警戒……。
他人から見たらそうなのかもしれない。
でも……拒否反応を起こして、自分じゃ制御できない。
馬鹿みたい。
モイさんが居なくなっ後、僕はリンクから離れた。
リンクに迷惑をかけるくらいなら。
いっそ居なくなっちゃえばいいんだ。

「クリュウ」

僕は顔を上げた。

「此処に、住まないか?」

驚いた。
断る理由、そんなのない。
これが物語の始まりなんだ。
鐘の音が聞こえた気がした。


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