お話

□21〜30
2ページ/11ページ

21


手には拳銃。

足元には、自分が殺した相手。

銃口からは、煙が上がっている。


「わりぃな。」

殺した相手に一言謝る。
この数時間で、何度謝っただろうか。

体についた返り血が、赤黒い染みを作って俺に主張する。

拳銃の重みに身も心も慣れているのに気付き、ずいぶん汚れちまったもんだと、笑いがこみ上げてきた。


自分が生き残る気は更々ないが、生き残って欲しい奴はいる。


巻き込まれたあいつは、あらかじめ参加が決められていた俺達とは違う。


だから、早いところ、このくそったれなゲームを終わらせてやりたい。
先輩達は、どうだか知らないが、その為だったら俺は、人を殺すこともいとわない。


間違っていると分かっていても。



これは、俺の独り善がりの最後の決意。



(急がねーと…やべーよな、やべーよ。)

一通り笑い終わると、息を整えながら、手早く殺した相手から武器を奪い、最小限体に身につける。

相手の顔を見ると、なき濡らした苦悶の顔。


バカみたいにキレイな青空に向かって、ふーとため息をつく。

もやもやしたものを心に押し込み、音を立てないよう先に進んだ。




い死に顔は誰にも見せない
(汚れた俺なんて)(誰にも見られたくない)
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ