私家版幕恋外伝・彦島を見守る魂
□INTERVAL
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少し遡って、夕刻。
京都某所。屋内。
【長州藩】桂 小五郎
「…晋作。今日のあれは何のまねだい?」
と、私はつとめて冷静に、晋作に問いただした。
「何のことだ?」
いつもの伝で、晋作は、まるで身に覚えがないような、態度を取る。
「あれだけ約束しただろう?薩摩の前では久坂の話は一切しないと」
「ゆうは薩摩の人間ではないぞ」
女の話になると、いつもこれだ。本気なのか、ふざけているのか、わからない。
「だが、薩摩藩邸に世話になっているだろう。ゆうさんには害意がなくとも、あの人に言ったことは、薩摩に伝わる。
今日のことも、口止めはしたものの、いつまでもつかはまったく心もとないよ」