私家版幕恋外伝・彦島を見守る魂
□EPILOG ONLY FOR OKUBO MANIA
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一刻後。
薩摩藩邸内。
【薩摩藩】大久保 利通
長州の連中の恨みか…。
ふん。
彼らの怨嗟の声を切り捨てるつもりは毛頭ないが。
長州の人間なら、まだいい。
あの連中には、これからの未来がある。
だが…。
幕府方…例えば、会津藩の連中は、どうなるのだろうな…。
あとは、新選組か。
あの沖田とか土方とかいう者ども。
薩長同盟を結ぶということは。
今度は私は、あの者たちにとって裏切り者となるということだ。
だが、彼らは桂君のように、私を恨みがましい目で見ることはあるまい。
そんな機会が来る前に、おそらくはほぼ全員、命を落とす。
生きながらえて、私を恨んで泣き喚くぐらいに五体満足でいてくれれば、こんな嬉しいことはないが、そうはいかんだろう。
それでも薩長同盟は、倒幕には必要なものだが…。
幕府を倒せたとして、その後はどうなる?
新しい日本を創ると言えば、聞こえはいいが。
侍を無くし、藩をなくし、日本人をひとつにしようとすれば、旧い側の連中から、やはり私は裏切り者と言われることになるのだろうな。
そして、また、人が死ぬ。
先を見る目をもつというのは、やっかいなものだ。
くだらんことばかり考える。