私家版幕恋外伝・彦島を見守る魂


□その三
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なんだか、なまじ印象が強すぎて、かえって忘れてました。

「こらっ!なんで皆に質問をして、俺だけに聞かないんだっ!?」
と、高杉さんに怒られてしまった。

「学習しようとする意欲はいいことだ!俺にどんどん質問してみろっ!」
と期待に満ちた目で私を見る。

そ…そんなに改まって聞かれても。

単に「攘夷って何?」っていう素朴な質問なんで…そこまで大した話じゃないです…たぶん。

横にいた武市さんがしらっとした顔で高杉さんを見ると、お茶をすすりながら言った。

「ま…彼は江戸でイギリス公使館に火付けをした人間ですから。尊皇攘夷を語るには、これほど適した人間もいないでしょう」

「えーーーっ!」

「おいっ!い、いきなり何を言うんだっ!」
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