私家版幕恋外伝・彦島を見守る魂


□INTERVAL
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「あれが口止めをするようなことか?あんなことは、大久保さんだって知っているぞ?」

「…知っているかどうかの問題じゃないだろう?」

私は額を抑えて、ため息をついた。

「薩摩だって、長州から色々と恨みを買っているくらい、知っているさ。
だが、その事実を知っていることと、具体的に誰がどこで昔の話を蒸し返していたかを知るのでは、心象も反感の買い方もまったく違うんだよ。

今は、薩長同盟締結前の微妙な時期だ。普段より何倍も神経質になっているはずだ。
それに薩摩藩内で、いまだに長州と幕府のどちらにつくか、駆け引きが続いてる可能性だってある。
お前は、不用意なことを言って、同盟を白紙に戻したいのか」

私は、晋作の顔を見なかった。見れば、激昂してしまうのがわかっていたからだ。
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