さらば愛しき馬鹿娘

□第七章
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携帯を取り上げられちゃっただけじゃなくて、父さん、私の部屋からPCも持ってっちゃった。
だから、家の外との連絡は、両親に見張られながら、家の固定電話で話すしかなくなった。
でも、私には電話かけさせてくんないし、カナコとかからの電話は、取り次いでくれない。

そんなある日、学校のお友達から電話よって言うので出てみたら、なんとスズミだった。
スズミは何を誤解してんのか知らないけど、すっごく楽しそうに一人で喋ってて、駆落ちすんなら手伝うから教えてね、なんて言ってた。
その時はへ?と思ったんだけど…。

次の日の晩、二階の窓にコツンと何か当たるんで下をのぞいたら、スズミが家の外に立ってて…。
何か受け取れってゼスチャーして、ぽーんと袋を投げてよこした。
中をのぞいてみたら、カギ型金具の付いた縄ばしごとか、よくわかんないものが入ってたけど…。
その中に、携帯が入ってた。
メールの着信があったので覗いてみたら…。

カナコだった。

「何とかとハサミは使いようって言うでしょ?
これで連絡できるようになったね。たいへんだけど、がんばろ」
…って。
カナコ、ひどいよ。

でも、なんかつい、笑っちゃう。

携帯は、カナコが前に使ってた古い機種のやつだったけど、メールには問題なかった。
私とカナコの共通の知り合いのアドレスはきっちり設定してあって、さすがカナコと思っちゃった。

あれから連絡が取れなかった和田さんにも、連絡して状況説明したんだけど…。
なんかカナコからすでにいろいろ聞いてたらしくて、謝られてしまった。…つか、頑張れって励まされた。
この人、私が幕末へ行くのに反対なんだか賛成なんだか、よくわかんない。

和田さん、例の大叔母様が来た日の夜、カナコと電話で話したらしいんだけど…。
私の前ではカナコ、舌出して肩すくめて「大人ってバカ」って言ってたのに…和田さんと話してて泣いちゃったらしい。

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