用語集

【ゆ】 4件

【勇と一 (ゆうといち)】
「いさみとはじめ」ではない。

うちの小娘のデフォルト名「ゆう」は、漢字で書くと「勇」

大久保さんが幕恋の時期、本来呼ばれている名前は「一蔵」

なので、幕恋ではなく、ふつうの幕末恋愛小説だったとすると、この二人が呼び合う名前は

「勇さん」
「一さん」

となる。

近藤勇と斉藤一じゃないよ。
繰り返しますけど。


【有のつく熟語 (ゆうのつくじゅくご)】
序幕で慎ちゃんが小娘に呼び方をリクエストするシーン。

森羅万象有形無償完全無欠…って意味通じないんですけど。
有形無償…って…保険屋さんですか?
いや、意味わかんないこと言ってるってシーンだから、それでいいのかもしんないけど。

たぶん「有形無償」は何かの誤字なんだろうなーと思ったので、ほんとは慎ちゃんは何と言いたかったんだろうかと、有のつく四字熟語を探してみた。

「森羅万象」とほぼ同じ意味の熟語は「有形無形」「有相無相」「有象無象」の3つある。
このどれかと間違えたんかなってのが、いちばん妥当な推理だと思うけど、後ろの「完全無欠」と意味があんまつながらない。

有じゃないけど「融通無碍」だと、どんなことでも完璧に対応できるって意味になるので、こっちかもしんない、と思った。

…とここまで調べて。
「有求必応」(頼まれれば必ずやってくれるお人よし)ってのを見つけてしまった。

慎ちゃん…これ、ぴったりかも。


【雪 (ゆき)】
大久保さんって、薩摩を初めて出たのは割と最近なので、あまり雪って経験したことないんじゃないかな…と調べてみた。

雪が降ると、途端に機嫌悪くなる大久保さん。
実は雪道歩くの下手だから、コケるのを見られたくなくて、せっかく傘持って迎えに来た娘に、当り散らしたりするとか。
想像すると、ちょっと萌える。

しかし、結論から言うと…残念。少なくとも大久保さんの少年時代は、薩摩でも雪が降った可能性が高い。

江戸時代は、世界全体が小氷期…つまり、比較的気温の低い時期が続いた。
淀川や隅田川が冬に凍結した年もあるそうな。川は流水なので-15℃くらいないと凍らない。

小氷期は1850年代まで続いたそうなので、1830年生まれの大久保さんは、鹿児島でも積雪を体験してると考えられる。

そういう意味では、大久保さんって、日本の気温が高くなり、等温線が北上するにしたがって、鹿児島→京都→東京って移動してますね。
渡り鳥のようなお方だ。

反対に1850年代以降、日本が暖かくなってくると、各地で暴風雨などによる水害が相次ぐ。
シーボルト事件のきっかけとなったんで有名なシーボルト台風とか。

明治になってからの大久保さんエピソードには、天竜川流域など、洪水で困っていた地域の人たちの訴えを聞いて、治水工事を援助したなんて話がいくつかある。当時、水害対策は国家の急務だったのかな。


【百合 (ゆり)】
ユリ自体は、ヨーロッパから日本までの各地に自生種がありますが、薩摩・琉球で自生しているユリは、琉球のテッポウユリ、その亜種で沖永良部島のエラブユリ、薩摩川内市あたりに多いカノコユリの3種類。

小娘ちゃんの部屋の庭に、一面に咲いてる…という設定なのは、エラブユリ。
大久保さんのお父さんが、大久保さんが産まれる直前と、7歳になってからしばらく島役人をしていた沖永良部島原産。
大輪の見事な花をつけるため、明治後に欧米に球根が輸出されて貴重な外貨源となった。
その当時のユリ景気に沸く島のことを歌った「永良部百合の花」という島唄もある。
今でも世界中の花屋で人気の高い白いユリは、日本原産のものか、その品種改良種が多い。

日本のユリを海外に広めたのは、英国人種苗商のアイザック・バンティング。
1880年に来日し横浜で開業すると日本中を旅し、各地でユリの栽培事業を促進し、英国で甥の経営するバンティング商会に球根を輸出した。
1905年にシベリア鉄道が開通すると、ユリ輸出はさらに活況を呈するようになったが、第一次世界大戦後に英国でユリの栽培が成功したため、衰退した。



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