創 話

□Deep into the night
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「っ・・・ぁ、はぁ・・・ぁん」
「・・・ぁんっ、んぅ」

間接照明が淡く灯るだけの薄暗い寝室、未だ熱を解放しきれずに燻り続ける身体は、快楽を欲してジン、と甘く痺れていた。
収まらない情動を口移しするように深く唇を重ね、絡みつく舌で口内を舐め合い、体温より熱い吐息で唾液に濡れる柔らかな粘膜を溶かし合い、啜り合う。
背中へと廻された腕が手繰るような仕草をみせて、誘われるままその上に再び身体を重ねた時、シーツに引っ掛かっていた1枚のメモが床へと落ちた。

『これ、すごい効くから
マツジュンと試してみて。
ただし休みの前の日!!』

相葉から、走り書きされたメモと一緒に貰った薬を半信半疑で飲んでから、どれくらいの時間が経ったのか。
気が付いた時には抗いようのない激しい衝動が身体中を支配し、突き動かされるまま互いを求めて、追い立てられるように交わっていた。
辿り着いた絶頂で注ぎ合った劣情は収まるどころか一層激しさを増し、蟠る熱に新たな火を灯してまた膨れていく。

「あっ、はぁ・・・ぁん」
「ん、・・・っはぁ 」

貪り、奪い合うような口付けを交わしながら艶やかな黒髪に指を絡め、もう一方の掌を汗ばむ肢体に滑らせて。
探り当てた胸の突起を捏ねるように押し付け、摘まみ、指先で弾くと、吐息は徐々に喘ぎへと変わっていった。

「んぁ、っ翔、さん・・・」
「ん、もう?」

忙しなく繰り返される浅い呼吸の合間、苦し気に俺を呼んだ松本が再び硬さを取り戻した自身の昂りを主張するようにもどかしく腰を揺らし、薄く笑ってそれを揶揄すると、俺の中心へと伸ばされた手が膨張したその形を確かめるように這う。
親指の腹で根本から先へと裏筋を辿り、括れを一回りして先端の密口を撫でてから、また根本へ。

「翔さんだって・・・もうこんなだけど?」
「ぅはっ・・・はぁ」

快感を引き出そうとする意図的な掌の動きと挑戦的に少し口角を上げた唇、挑発の色を濃く湛えた視線に絡め取られて、快楽の予感がゾクゾクと肌を粟立たせながら全身を駆け抜けていった。

「ぅ・・・く、ァ・・・っ」
「翔さん、可愛い」
「っ、うるせぇよ・・・」
「あぁっ、ぅあぁっ、」

俺の下でそそり立っている昂りの先端、拭いもせず体液に塗れたままの小さな窪みに爪を立てて軽く抉れば、組み敷いた体躯は息を詰め身体を仰け反らせて小さく啼き、包み込んだ掌で下から上へ少し乱暴に撫で上げると、溜め息のような声を漏らした。

「ぁあっ、はぁッ・・・」

一旦身体を起こし開かせた脚の間に割り込んで、両手で掴んだ腰を引き寄せる。

「いい?」

小さくコクリと頷いたのを見届けてから、先程の名残の残る後孔へと、猛りを一気に突き挿れた。

「ぁああっ、あっっ」

既に濡れているそこは抵抗せずに根本までを一気に受け入れ、粘液でぬかるむ柔襞が奥深くへ誘うように卑猥に波打つ。
騒々と蠢き纏わりつく粘膜は脳まで溶かしそうな程、熱い。

「あぁっ、はぁ・・・っぁん」
「っ、潤・・・っ」
「しょうさ、ん・・・うぁっ、あぁっ」
「お前ん中・・・すげぇ熱い、っはぁ、」

気を抜けばすぐにでもバラバラの方向に暴走しそうな感覚をなんとか繋ぎ止めながら、穿ったものを打ち付け敏感な箇所に擦り付けるようにして掻き回す。
腰の動きに合わせるように鳴る淫靡な水音が鼓膜を震わせ、結合部の熱く濡れた感触が神経をジリジリと逆撫でては、出口を求めて一点に集まり肥大していった。

「うっ、ぁんんっ・・・」
「潤っ・・・はぁっ、あぁ」
「あぁっ・・・は、ぁん、」

否応無しに加速していく快楽に翻弄されながら、小刻みに痙攣しトロトロと蜜を溢す松本のそれを、強く掴んだ手で扱くように愛撫し、一段と質量を増した昂りで組み敷いた身体を貫くように揺さぶり、突き上げる。

「あっあぁっ、っく・・・っっ」
「っはぁ、はぁッ・・・」

暫く繰り返すうちに、それまで律動に揺れながら淫らな声を上げていた松本が奥歯を噛み締め、耐えるように身体を強張らせて、縋り付く両手が肌に爪を食い込ませた。
その鋭い痛みさえ、最早快感を抑える術にはならなくて。

「っは・・・いいよ、潤・・・っ俺も、イキそ、・・・はぁっ」

強烈な愉悦に喘ぎながら、迫り来る射精感に身を任せる。

「あっんぁっ・・・しょう、さ・・・はぁ、あぁっイッ、くっ、ぁああぁっっ・・・!!」
「はぁっ、っ ・・・ っくっ、」

嬌声と共に、生温く濁る体液が握り込む掌の中に溢れたのを感じた瞬間、俺自身を深く咥え込み蠢動する熱い胎内へと二度目の熱を刻み込んだ。

「っ・・・っはぁ、はぁ」

それでもまだ痺れるような疼きは醒める気配を見せず、身体の内に宿る確かな火照りに思わず悪態をつく。

「っはぁ、はぁ・・・くっそ、なんだこれ。全然引かねぇ」

お前は?と聞こうとしたその時、松本が肩で息をしながら上体を起こし、緩慢な動作でうつ伏せになり膝を曲げて、突き出すように腰を少し高くした。
今まで繋がっていた場所が、眼前に曝される。

「・・・潤っ、お前・・・」
「・・・翔さん、」

更にその向こう、薄明かりの中。
頬を紅潮させた彼が肩越しに鈍く光る視線を寄越し、艶やかに濡れた唇が妖しく動いて。

ーきて。ー

消え入りそうな掠れ声で、しかし確かにそう告げた。

濡れた唇と潤んだ瞳。
汗を含んで肌に張り付く黒髪。
薄く朱に染まる上気した肌。
そして、ゆっくりと内腿を伝い落ちていく白く粘る体液。

目の前にあるその姿は壮絶な色香を全身に纏い、息苦しさを伴いながら俺の欲を駆り立てて、無意識のうちにゴクリと音を立て唾を飲んだ。
そしてまた、たった今生まれたばかりの新たな欲を満たす為に、伸ばした腕でその身体に触れ、快楽を貪っていく。


徐々に機能を停止していく思考の片隅で、果ての見えない欲情も、崩れていく理性も、置き去りにされた羞恥も、何もかも全部薬の所為にして。

醒めない熱に流されるまま、
さぁ、このままどこまで堕ちようか。







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