創 話

□ABORT//CLEAR
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「ぁっ・・・あぁ、っ」

熱く濡れた粘膜を抉るように突き上げると、収縮する柔襞が根元まで押し込んだ昂りに絡み付き、締め付けて絶頂を誘った。

「っ・・・ぅん、っ」
「 ・・・ぅ、っ・・・はぁ・・・」

本能に任せて夢中で快感を追い、快楽に溺れて壊れる程腰を打ち付けて。
穿っていたものを引き抜くと、掴んでいた細い腰に欲の証が散った。
松本は床に倒れ込み、その背中から脇腹へ白く濁る粘液がゆっくりと伝っていく。
掛けるべき言葉に迷いながらその様をただ眺めて、乱れた呼吸をただ繰り返して。

「はぁ・・・ぁ・・・」

互いの息遣いが落ち着き始めた頃、先に言葉を発したのは松本だった。
体液の匂いが満ちる中、俯せのまま振り返りじっとりと見上げる瞳が俺に突き刺さる。

「何か言うべき事あるんじゃないの?」
「・・・すみません・・・」

松本が呆れたように深く息を吐いて、汚れた身体のままゆっくりと起き上がった。

「俺だって今日はその気が無かった訳じゃないよ?だけどさ、」

巡らせた視線の先、床に落ちたチーズとサラダ、剥ぎ取るように脱がせた衣服等色々な物が散乱している。
テーブルの上には綺麗に盛り付けられた料理の数々とワインが並んではいるが、料理はもう冷めてしまっているだろう。

「せっかく用意してたのに」
「俺、食うから・・・」

そう言うと、当たり前だと言わんばかりに軽く睨まれた。
久しぶりにゆっくり時間が取れるからと嬉しそうに話しながら華麗に料理を仕上げていくその指先に、楽しそうに笑う口元に、襟から覗いた鎖骨に、俺の不埒な欲望は制止の声も抵抗する腕も振り切ってその場で強引に行為に及び、半ば無理矢理繋いだ身体を劣情が満たされるまで獣のように貪った。

「まったく、もういい大人なのに」

そういう所はまるっきり変わってないんだから、そんな風に言われてさすがに言い返そうとした時、赤くなってしまっている松本の膝が目に入った。
硬いフローリングでの行為。それ以外にも無理をさせてしまったと言う自覚は、今更ながらある。
だからこそ下半身を露出したまま年下の松本から説教を受ける俺にはやはり、反論の余地などある筈も無い。

「とりあえず片付けます・・・」

暫く続いた小言が途切れ、脱ぎ捨ててあった下着を手に立ち上がろうとした俺の手首を松本が掴んだ。

「まだ終わってない」
「・・・はい・・・」

引っ張られて、また床に戻る。
あとどの位この我ながら情けない状況が続くのか。

「それに翔さんがやると余計な仕事増がえるんだから。そんな事より、」

言いながら伸びてきた手が肩に触れて肩から二の腕、胸、そして下腹へと伝い降りていく。
顔を上げると艶を含んだ松本の瞳に、自分の顔が映った。

「どうせだから俺の事」

まだ濡れたままの弛緩している中心に五指が妖しく絡んで、蠱惑的な唇が挑発するように微笑う。

「・・・もっと愉しませてよ」

耳元で囁かれた声が吐息に溶けて染み込んで、思わず喉を鳴らした俺の唇を、松本の唇が塞いだ。
目を閉じ、触れる熱を受け止めて。
今度は二人で、快楽の波に飛び込んで行った。






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