鋼殻のレギオス

□悩む人々
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汚染獣襲撃から数日。被害はほとんど出ていなかったため直ぐに授業は開始された。そんな日な生徒会室で頭を抱えている人物が二人ほどいた。

「結局、汚染獣を倒したのが誰か、判らなかったな」
「目撃した人物が居ないんだ。ただ、フェリは『ある人物』と言ったんだ。一人なのは確かだろう」

カリアンとヴァンゼは、汚染獣を倒した人物が誰なのか考えていた。

「そのお前の妹だ。お前の妹はその倒した人物に協力したんだろ?誰か聞き出せなかったのか?」
「それが、あの日以降家に帰ってきていないんだ。幸い、授業には出ているようだか…」
「誰のところにいるか分からないのか?」
「調べたさ。いろいろな者達に後をつけさせたり、私自身がつけたこともあった。だが毎回、念威爆雷で追跡を阻まれてしまってね。今だ分からないのだよ」
「武芸科の生徒にやらせればいいだろう?」
「ああ、それもやった。追跡が得意そうな十七小隊のシャーニット・エリプトンに何回もやらせた。しかしどうしたことか、彼はいつも途中で気絶するのだよ」
「例の人物がシャーニットを殺ったということか?」
「たぶんそうだろう」
「「いったい誰なんだ?」」


場所は変わって放課後の教室。そこではレイフォン、リア、ナルキ、ミィフィ、メイシェンの五人が談笑していた。

「しかし何だったんだ?あの汚染獣の死体の山は?」
「俺たちがついた頃には既にあれだったからな」
「この前の汚染獣襲撃の時の事?」
「メイはまだ知らなかったんだね。何かね、武芸科の人達が外苑部についた頃には、汚染獣は全部細切れにされてたんだってさ〜」
「だれがやったの?」
「それが分からないんだって」
「すごい人が居るもんだな」
「………」

五人は汚染獣が襲撃した時の事を話していた。
当事者であるレイフォンは、変な情報を漏らすまいと、適当に相づちを打つだけで無言を通していた。

「ところでレイフォン。お前はあのとき何処にいたんだ?」
「へ?」
「俺が声をかけようとしたときにはいなかったじゃないか?」
「その、グレンダンにいた頃の癖で、直ぐに逃げてた」
「なんでそんな癖あんの?」
「グレンダンは他の都市と違って、汚染獣との遭遇回数が多いんだ。都震があると、大抵は汚染獣が来てたから」
「グレンダンって一年でどれぐらい遭遇するんだ?」
「えーと、五十回近いんじゃないかな?多い時は毎週遭遇してたから」
「「「「( ; ゜Д゜)」」」」

あまりの多さに四人は唖然とする。
「大丈夫、みんな?」
「あ、ああ。そ、そろそろ帰るか?」
「そ、そうだな」
(ねえ、レイとん、やっぱり今回の汚染獣倒したのって…)
ミィフィが小声で聞いてくる。
(うん。僕だよ)
(…レイとんってすごいんだね)
(そうかな?)
そんな会話をしていると、ゴルネオが教室に入ってきた。
「レイフォン、ちょっと来い」
「はい。みんなは先に帰ってて」
「レイとん大丈夫?」
「たぶん…」
そう言ってレイフォンとゴルネオは教室を後にした。
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