鋼殻のレギオス

□小隊対抗戦
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週末、レイフォンは対抗試合を見に来ていた。
今日は17小隊の試合のあるが、その応援は二の次で、学生武芸者の実力がどれ程のものかを見に来ていたのだ。
それも観客席で、ではない。エアフィルターギリギリのところで自前の錬金鋼を使い、鋼糸を1本だけ展開させ、その上に立っているのだ。

「それにしてもレベルが低いな」
レイフォンは第1、第2試合を見てそう呟いた。
「もしかしたら、幼成体にも勝てないかもしれないな」
レイフォンから見れば、学生武芸者の武芸はお遊びに等しい。
「よし、ちょっと試してみよう」
そう言うと、レイフォンは体内で剄を高め始めた。
(どれ位で気づくかな?)
これは、どれくらい強大な剄に学生が気づくかを知るためと、自身の剄の扱いの訓練とで一石二鳥になるものだ。

「結構高めたけど、まだ気づかないかな?」
だいたい、全体の1/5程まで高めた。これでも、一般的に見ればかなり多い方だが、仮にも元天剣授受者。剄の量も化け物だ。

ふと、レイフォンは視線を感じた。探ってみると、それは現在試合をしている17小隊の念威繰者の少女だった。レイフォンは相手の剄を見ることが出来る。彼女には膨大な念威の量と才能があることにレイフォンは気付いていた。
(もしかしたら最初からバレてたかな?)
内心苦笑しながらそう考えていると、つい集中力を切らしてしまい、鋼糸が切れてしまった。
「ヤバい
落下していくレイフォン。





ニーナ・アントークは焦っていた。新入隊員のリアも頑張ってくれたが、出来立てホヤホヤの小隊のため、かなり厳しかった。そしてついに負けそうになっていた。
(クソこのままでは負けてしまう)
どうにかしたい、だがどうにもなら無い。
(このまま負けてしまうのか?)
ニーナは諦めかけた。その時、

ドオオォォォン

グランドの中心で、大きな衝突音がした。砂煙が上がる。その一点を、ここに居る全ての者が見ていた。観客も、司会も、対戦相手も、自分達も。
砂煙が薄れ始めた時、いきなり一陣の風が吹いた。風により砂煙が消え、何かが落下したと思われる場所を見るが、そこにはクレーターが残るのみで何もなかった。





レイフォンは荒い息を整えながら、屋根の上を跳んでいた。
「本当に大変なことになるところだった」
先ほどレイフォンは、空から落ちたのだ。しかもグランドの真ん中に。
「バレてないかな?」
落ちてすぐサイハーデンに伝わる超高速移動、水鏡渡りを使ったため、たぶん見られてはいないだろうが、もしかすると、念威繰者の少女に見られていたかもしれない。

「大変なことしちゃったな…」
『全くです』
「えっ!?」
いきなり後ろから声がしたため、振り向くと、花びらのような形をした念威端子が浮かんでいた。
『全く、貴方は何がしたかったんですか?取り敢えず、話がしたいので外苑部に来てください。来なかった時は…分かってますよね?』
「はい…」
レイフォンは一抹の不安を覚えながら外苑部へと向かった。






「バカなんですか?」
「うっ…」
会って最初の一言がそれだった。
「しかも只者じゃない…学園都市や普通の都市が戦っても勝てないような」
「…………」
少女、フェリ・ロスはレイフォンの実力を大体は理解してしまった。実際そうなのだ。グレンダンでは都市戦の時、基本的に天剣授受者一人で戦う。しかもグレンダンの圧勝で都市戦は終わる。

「私が生徒会長にこの事を話せば、貴方は利用されるでしょうね。」
「それは…ちょっと…」「分かりました。この事は秘密にしておいてあげます」
「本当ですか
「ただし、貴方は今日から私の奴隷です」
「ふぇっ?」
「安いものでしょう?都市のために利用されることは無く、ただ私に従えば良い」
「そ、それは…」
「別に良いんですよ?話しても」
「………分かりました」
「よろしい。なら帰りますよ、フォンフォン」
「え何ですか、その珍獣みたいな名前は?」
「貴方は私の奴隷なんですよ?奴隷とはつまりペット。だからフォンフォンです」
「………」
結局レイフォンは、なにも言うことが出来なかった。




おまけ
17小隊の試合中、フェリは空中に1人の学生を見つけた。
「あれは…」
フェリは気になり、念威端子をより近くに飛ばした。その時、
ドクン!!
フェリの鼓動が大きく跳ね上がった。
「こ、これは///」
自分でも顔が赤くなっていくのが分かる。そう、フェリは、レイフォンに一目惚れしたのだ
レイフォンが落ちてくるのを見ながら、フェリは自分の気持ちに気づいていった。


続く
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