短編カプ

□高み
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−向いてない−

それは自分でも密かに思い、そして思わないようにしてきたこと。
だが他人に言われたことで現実を突きつけられた気がした。


「……考えさせてください」








一人フェンスにもたれ掛かり空をあおぐ。現実を突きつけられてなおバスケ部にいくと言えなかったのはテニスへの未練かそれとも……


「お前、バスケ部はいんのか?」


ふいに声が聞こえた。

「宍戸さん……」
声の主は給水塔の影から姿を表した。

「いつから…」


「お前らがくるまえからだよ。ったく、人の昼寝邪魔しやがって。」

「すみません」

「で、テニスやめんのかよ」
このまま流してくれるかと思ったがやはりそうはいかなかった。

「わかりません」

「ま、別に俺はどっちでもいいけどよ。激ダサだな」

「え」
興味なさげに放たれたその言葉に思わず聞き返す。

「テニスに伸び悩んでるからバスケに逃げるなんて激ダサだっつってんだよ」

「仕方ないじゃないですか、俺には向いてないんです。」
半ば投げやりに返す。
「そんなでかい身長して向いてないなんてよく言うぜ」


『でかい身長』それが自分を苦しめていることなど彼は知らない
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