×展示×

□髪留め
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髪留め

「弁慶は、いつも髪留めを使ってるね」情事の後、髪を梳いていた弁慶を見てい
たヒノエがポツリと言う。
「…?急にどうしたのです?」
弁慶が不思議そうな声で問う。
「いや…何か色褪せてるからさ…。
何か愛着でも有るのかい?」
どこか、からかい気味の問いかけ。
それに対し、弁慶は…。
「ええ、有りますよ」
あっさり答えた。
「有る…って、思い出の品なのか?」
意外そうな顔と声で再び問うヒノエ。
「ふふっ。それは想像に任せますよ」
軽く笑って、この問いには答えなかった。
「ですが、ヒノエの言う通り…確かに色褪せてきてますね。捨てたくは無いので
すがね…」
『どうしましょう…?』と口に出さなかったがヒノエにはそれが分かったらしい

「そんなに愛着付いているんなら…これに包んで隠して使いなよ」
そう言って渡したのは、ヒノエの髪と同じ色の幅広の長い布。
「ヒノエ…?」
「そうして使えば捨てなくても使えるだろ?あんたの髪をまとめる髪留めの布が
この色でも別に構わないよな−?」
じっと見つめるヒノエ。
最初は驚いていたが、ヒノエの言葉に笑顔になる弁慶。
「ええ、そうですね。ヒノエからの贈り物は、これで二つ目になりますね」
「…どう言う事だ?」
「ふふっ。言葉通りですよ、ヒノエ」


『君は覚えていないのでしょうが、この髪留めはヒノエが幼かった頃に僕にくれ
た品物なのですよ。君は僕の心を捕らえて離さない…。
だから、君が僕を見つめ続けてくれるならどんな事でもしますよ…』

−終−


後書き
最初は、弁慶さんの誕生日の贈り物と言うイメージでしたが…間に合いそうに無
いので、そんな風に取れる話にしました。これが、ヒノ弁の初文章化!ですが…
いかがな物でしょうか?

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