I was born 2

□仲良くなりました
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梅若師匠との再会から数年が経った。

一応罰として捩眼山に入ることが禁止になったため、今では修行も町の端っこの開いた場所だ。


そして、前世と変わったことと言えば。


「次は俺がやる!」
『何行ってるの。この修行は僕が師匠に頼んでるんだよ。他はすっこんでろ!』
「なんだと、てめぇ!やるか!?」
『君、僕に勝ったことないじゃないか!』


梅若師匠と僕の2人だった(時々、狒々様がいたけど)のが今では4人になった。

最初、僕を信用できずに牛頭丸と馬頭丸が護衛のためにいつも来ていた。でも、途中から牛頭丸が参戦してきて、馬頭丸も微笑ましそうに観戦していて、そんな2人を梅若師匠も慈悲深い目で見ていて。
イコール、今ではかなり仲良くなったと言うことだ。

まあ、ライバルがいた方が能力向上に良いだろうと、僕も満更でもない。

でも、こうやってよく喧嘩になるのもほとんど。なんとなく牛頭丸と喧嘩をしていると子どもっぽくなってしまう。梅若師匠にも言われてしまった。


『それに牛頭は山でも師匠に会えるじゃないか!僕は1週間に1回しか会えないんだから譲れよ』
「うっせぇ!んなの関係ないんだよ。人間はすっこんでろ!」
『妖怪がどんだけ偉いとおもってんだよ。馬鹿か』
「牛鬼様、お茶飲みますか?」
「ああ。もらおう」


こうやって口論を始めるのは日常的になってしまい、馬頭丸も梅若師匠も慣れたように見て見ぬ振りをする。

最終的に口論のすえに手まで出て、木刀を使っての大喧嘩になる。
それでも僕も牛頭丸もそこまで愚か者ではないので、手頃なところですぐにやめる。

こんなグダグダなやり取りでも僕には実戦のようで鍛錬になるから、言わないけど牛頭丸には感謝してる。


『馬頭、僕にもお茶ちょうだい』
「はーい。牛頭は?」
「もらう」


今日も平和です。




休憩がてら、みんなでのほほんとしていたら、ザリッと土を踏む音が聞こえた。


「おや、今は休憩中かい?」
『狒々様?』


歩いて来たのは梅若師匠と同等くらいに僕が敬愛する狒々様だった。

梅若師匠に会った後、梅若師匠のおかげで狒々様とも再会ができた。そして、それ以降、前世のように狒々様はたびたび僕の修行に来てくれるようになっていた。


「紫月の坊はまた大きくなったか?」
『それ毎回会うたびに聞いてますよ』


実は数年経って、僕の見た目は驚くほど変わった。

昔はどちらかと言えば可愛くて中性的な女顔だったのに、どう変わったらこうなるのか今は精悍な、まさにイケてるメンズになった。
背だって同年代の子どもに抜かれるし、さらに教え子にも抜かれてるしで、お世辞にも高いとは言えなかった身長だったのに今は梅若師匠と同じくらいにまでニョキニョキと大きくなった。

数年前はおじさんに人気だったが、今は若い娘に人気だったりする。

そして、今年で僕は数え19歳。実は前世もその前も理不尽な死に方をしたため20歳になる前に死んでしまっているのだ。だから、今回は20まで生きると小さな野望を僕は胸に秘めている。




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