I was born 3

□予言
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清継の様子がおかしい。
まあ、おおよその理由は分っているのだが。


朝は「●●県の牧場で件が生まれる情報が出たんだよ!」と嬉しそうに報告して家を出て行ったはずなのに。帰ってきた清継は朝とは真反対に顔を真っ青にさせていた。

そして、翌日になった今日も自室にこもったまま、食事の席にも出てこなかった。
一応俺が部屋まで飯を持ってったら食べて廊下においてあったので生きてはいるのだろう。

さすがにこれには両親ともに心配そうな顔をして俺のことをソワソワと見ていた。きっとどうにかして欲しいのだろう。

でも、これに関しては清継の心の問題だし。
だけど、少しくらいならいいか。

俺はそう判断すると、チラチラと此方を見てくる両親に1つ頷いて見せて清継の部屋に向かった。


『兄貴、いるんだろ?そろそろ部屋から出てこいよ』


ドンドンと部屋のドアを叩くが、清継が自分からドアを開けることはしない。

俺は悪いとは重いながらも今まで触れることもなかったドアノブに手をかけた。

この家はお金持ちのくせに自室のドアに鍵がついていない。そのため開けようと思えば簡単に開けることができるのだ。お金持ちのくせに珍しいと思う。

そんなどうでも良いことを考えながらドアノブを回した。カチャと音を立てながらドアは簡単に開いた。


『おい、兄貴?母さんたちも心配してるぞ』


ドアは全開にせず、隙間から顔だけを入れて机に突っ伏している清継に声をかける。

だが、声をかけても清継はピクリとも動かない。
仕方ないと俺はドアを全開にして部屋に入り込んだ。

室内は昼間にもかかわらずカーテンを全部閉め、なおかつ電気も付けてないせいでひどく薄暗かった。


『兄貴……』
「……紫苑」


机に突っ伏す清継の肩に優しく手を乗せて呼ぶとそろそろと顔をあげて俺に目を合わせてくれた。
だが、清継の顔は真っ青で目の下には隈がくっきりみえ、紡ぐ声もひどく掠れていた。

おそらく一晩中考えていたのだろう。


『何があった?』


寺子屋時代、子供に対応していたのを思い出しながら努めて柔らかい声で聞いた。


『昨日は随分楽しそうに出て行ったのに』


俺の問いかけに清継は口を開くが言葉にはならない。


『件の予言に何かあった?』


俺が確信をつくように呟くと清継がバッと音がしそうなほどいきおいよく顔を上げた。



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