I was born 3

□決戦前夜
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清継と話した翌日、普通に学校があり、俺は清継の介護をする羽目になっていた。
いまだに消沈したままの清継はこっちから言わないと行動を起こしてくれない。すごく面倒だが、このまま放っておいたら廃人になってしまいそう。

しかたなく世話を焼く。

しかし、兄貴にあーんをしたり、着替えを手伝う日がくるとは思わなかった。

やっと学校が終わり、清継を引っ張って帰っているときだった。

前の方から軽い足取りで走ってくる女子生徒っぽいのが俺と清継を目にすると目の前で止まった。


「あ!紫苑くん、清継くん。リク……奴良くんはどこですかぁ?」
「え……何のこと?ボクは、何も聞いてないよ……」
『あ、おい!兄貴!……はぁ』


話しかけてきたのはリクオを探していたらしいつららだった。
しかし、リクオの名前が出た瞬間、清継の顔が真っ青にかわり、わけのわからない返事を返してさっさと走っていってしまった。

俺を置いて……。


「あ、あの……清継くんはどうしたのですか?」
『あー……あいつのことは気にしなくていい。今はそっとしておいてやってくれ』


戸惑った様子のつららに詮索はしてやるなと言うと、納得しきれないようだが頷いてくれた。
そして、何だかんだと俺はリクオを見つけたつららと3人で学校を出た。


「へー、清継くんが?不思議だね」


さっきあったことをつららがリクオに言うと、リクオももちろん心当たりがないので不思議そうな顔をしていた。

そんなのほほんとアイスを食べている2人を横目に後ろを確認してみた。
2人は気付いていないようだが、学校を出てから尾行されている。それも1人や2人じゃない。十数人にもわたる人がリクオの後を追い、通り過ぎる人がリクオだと分ると恐怖するように見ていた。

あまり長く一緒にいるとリクオに巻き込まれる。

リクオたちを一緒に歩いていた歩みを俺は止めた。
それに気が付いたリクオが俺から5歩ほど進んだ場所で止まった。その顔は不思議そうで首を傾げている。


「どうしたの、紫苑くん?」
『なんでもねぇ……今日はこっちから帰る』
「え?う、うん」


踵を返し歩きだそうと足を1歩だしたとき、俺は顔だけ振り返ってリクオを見た。
まだ幼さを残す顔が不思議そうに俺を凝視していた。


『……リクオ』
「え?何?」


これから1時間もしないうちにおそらくリクオはまた戦いに向かわなければならなくなる。しかも、今回の戦いはリクオにとって精神的に辛いものになる。


「?清継くんもだけど、紫苑もおかしいよ?どうしたの?」


不吉な空気でも感じたのか、不安そうにこちらの顔を伺ってくる。


『清継は清継の戦いをしてる……』
「え……」
『お前はお前の戦いをしろよ……』


不思議そうな表情をしているリクオとつららを見てその場を去る。

この後すぐに後ろから、また人の声がした。


「みんなで行けば、奴良リクオだって倒せるぜ!」
「おう、みんなで守るんだ!」


また、リクオは戦いに巻き込まれる。しかも今回はリクオが必死に守ろうとしているものが敵になる。


『死ぬなよ……リクオ』



 

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