花物語・狩人滞在記
□生活
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ツバキとジンの無人島での生活は1ヶ月が経っていた。
思いの外調査ではツバキが使えることにジンは喜び、一方飯を満足に作らないジンにツバキは辟易としていた。
最初にジンが振る舞ってくれたのはこの森でとれたうさぎのようなものの丸焼きだった。
別に丸焼きが悪いわけではないが、ジンの作るものはとりあえず焼くのみだった。
――どこの野生児だ。
そのことにそうそう気がついたツバキは自分で調理をすることにした。
ジンは調味料の類を一切用意していなかったが、ツバキの持ち前の植物の知識でカバーした。
さらに肉ばかりを食べようとする子供みたいなジンに野菜類を食べさせるのも苦労した。
「おめーは母ちゃんみたいだな」
ジンに言われ非常に不本意だった。
面倒くさいことが嫌いなツバキは本音では料理やら家事っぽいものはすべて押し付けたかったが、それに関する基礎能力値がジンには少なすぎた。
また、お互いが自由奔放なせいで互いが苦労することが多々あった。
とはいえ、ジンは深く干渉するタイプではないので近くにいたとしてもあまり煩わしくなかった。
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