電波がちがくても
□言葉
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―「俺の事知ってるの?」
どうしよう。
―「えっと、聞こえますか」
どうしよう。
―「いつも、声かけてくれてた…よね?」
…―どうしよう。
なんて言えばいいんだろう。
愛しいこの人に。ずっと話したかったこの人に。
伝えたいことが多すぎて。ていうかそもそもこれは何?なんで彼の声が…
夢?はたまた妄想?
―「…やっぱ、気のせいか」
まって、
『っま、待って!』
夢でもいい。妄想でもいい。
何でもいいから。私はこの人とかかわりたい。
届け、届け
『わたしは…』
―「…きみは?」
『…っわたしは…』
『…##NAME3##、です』
「##NAME3##…##NAME3##、かぁ…」
本名、いえなかった。
それでも嬉しそうにも聞こえる声に、ホッとして。
同時に泣きたくなった。
―「きみのこと、もっと知りたいな」
『え、』
―「えっと…君、俺の事よく知ってるみたいだから…」
もっと、たくさん話そうよ。
ああ、私はなんて幸せ者なんだ。彼と話したい人は溢れかえるほどいるのに。
たとえ幻想でも、それでも。私にはもったいないほどの幸せだ。
綱吉は
『…じゃあ、このことは二人だけの秘密ね』