Mihael=keehl
□smoky chocolate
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「タバコ、」
「うん?」
「くさい」
「………そう」
マットにはそんなこと言わないじゃない。
口から煙を吐き出してメロの方を見ると眉を寄せて私を睨んでいた。
「くさいからやめろって言ってんだよ」
「あら、いいじゃない」
タバコが嫌いだなんてまだまだあなたも子供なのね。
鼻で笑うとますます不機嫌そうな顔をするメロ。
メロをからかうのは嫌いじゃない。
いつも無表情な彼の表情を変えられるなんて楽しいじゃない。
「いつからだ」
「ん?」
「それ」
あぁ………。
「……さぁ?あなたが私の前からいなくなった時からじゃなかったかしら?」
忘れちゃったわ、そうとぼけてみると彼は黙ったまま何も言わなかった。
ただ、眉間の皺は残ったままだから不機嫌なのは間違いないようね。
そんな彼を無視してタバコを吸い始めた時のことを思い出す。
突然、メロが私の前から姿を消した。
いつかそんな日が来るんじゃないかとは、なんとなく思ってた。
だから覚悟はしてたはずなのに。
やっぱり寂しかった。ほら、いなくなって初めて気が付くことってあるじゃない?
その寂しさを紛らわすために私は毎日色んな男と寝た。
金持ちの社長、妻子持ちの男、ニート、いろいろいたわ。
でも、この寂しさを埋めてくれる男は誰1人としていなかった。
その男たちが共通してやっていたこと、それがタバコ。
最初は嫌だったけど毎回寝る男たちからタバコの匂いがするとだんだんと恋しくなって吸い始めた。