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□伝えたい気持ち
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プルル…プルル…
「新妻君、ケータイ鳴ってるよ?」
いつもの大音量の音楽に負けじと声を出して話しかける。
着信画面を見ると超がつくほどの有名モデル。
どこでこんな人と知り合ったんだろう…
「放っておいていいですよ、…ドカーン!シュピーン!!」
新妻君は何もなかったかのように漫画を描き始めた。
放っておいていいって…
私、ファンだから私が電話に出たいくらいなんですけど…
「じゃあ、ちゃんと後で掛けなおすんだよ?」
「大丈夫ですよぉ、どうせ大した用じゃないでしょうし」
大した用じゃない…か……
「新妻くん私、用事思いだしちゃったから今日はこれで帰るね」
「もう帰っちゃうんですか?」
新妻君は悲しそうな顔をする。
まるで捨てられているチワワのよう…
「ごめんね」
私は新妻君と別れを告げ、部屋を出た。
そして、10分ほど歩いたところで立ち止まった。