チョコレートな君

□王子様ですか?
1ページ/1ページ








目が覚めると、聞こえる話し声。
その中には私をここに連れて来たであろう男の声もあった。
ゆっくりと思い出される記憶。

ここはどこだろう…?

ゆっくりと起きると男たちの視線が私に向いた。


「起きたか」


起きたかって…起きるの待ってたのかよ。
そう心でツッコんだ。
流石に口に出すことはできないけど。


「ここはどこ…ですか」

一応、敬語になる。
だって怖いんだもん。
男の人たちの服装、顔、目…何もかもが。


「お嬢ちゃん、見てたんだろ?」

「…何をですか」

「麻薬の取引してるところをだよっ!」


さっきとは別の男が急に近くにあった机を蹴った。
机の上にあったグラスやなんやかんやが落ちて割れていく。


私を脅してるつもりデスカ?
…とても怖いんですケド。


「み、見てないです」

これはホント。
真っ暗で見えなかったもん。
一部始終は聞いちゃったみたいだけど。


「嘘だってバレバレなんだよゴォラァァァ!」

机を蹴った男が私につかみかかってきた。
クルシイ。
自然と目に涙が浮かんでくる。
男が腕を振り上げた。
殴られるっ…!


「……っ」




バンッ




突然響いた銃声音。
でも、私には痛みはなくて…
ゆっくりと目を開けると男たちは私の方を向いていない。
しかも、私をつかんでいる手が震えているようにも思える。
男たちの視線をたどってみると、そこにいたのは…






王子様ですか?





●●

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ