チョコレートな君
□寝言は寝ても言うものではありません
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私の王子様のイメージは金髪の肩くらいのサラサラヘアー。
白馬に乗ってお姫様を助けてくれる存在。
赤いマントでかぼちゃパンツ。
目の前に立っているのは銃を片手に立っている金髪の少年。
綺麗な金色のサラサラヘアー。
白馬には乗っていないけど、私を助けてくれた。
赤いマントとかぼちゃパンツは…していない。
王子様は横目で私を見るとすぐに視線を男たちに戻す。
「…チョコ」
「…え?……あぁ、すいませんっ」
…チョコ?
王子様の口から出た意外な一言に目を見開く。
すると、私につかみかかってきた男が手を離し床に散らばったガラスや板チョコを拾い始めた。
それにしたがって、周りにいた男たちも床を綺麗にし始める。
私はとりあえずは助かったらしい。
王子様の方を見るとチョコを食べながらいかにも高級そうな黒い皮のソファに足を組んで座って男たちを眺めている。
全然、私のことなんて興味なさそう。
もしかしたら、助けてくれたというのは私の勘違いで単に王子様は床にチョコを落とされたのが気に食わなかっただけなのかもしれない。
そう思ったら急に馬鹿らしくなってその場に崩れ落ちた。
「もう、わけわかんない…家に帰りたいっ……」
今までの恐怖心からか堪えてた涙があふれ出す。
必死に唇を噛んでこらえようとしても出てきた涙は止まらなかった。
「それは無理だ」
すると、向こうの部屋から怖そうなスキンヘッドの男がたくさんの男をぞろぞろと連れてやってきた。
ボスだろうか…?
明らかにそこらへんにいる男とは違うことは分かる。
「なん…で……っ?」
「お嬢ちゃん、薬の売買見たんだろ?」
「見て…ませんっ!」
下から睨みつけるように言うとスキンヘッド男はハハッと笑った。
「本当に見てないんだとしたら、あの場にいた自分を恨むんだな」
「私をどうするつもりっ」
もしかしたら、殺されるんじゃないかと思った。
人質にとられて身代金要求もあり得る。
覚悟をしてスキンヘッド男を睨むと誰しもが想像しないであろう返事が返ってきた。
「そうだな……、ここに住むか?」
寝言は寝ても言うものではありません
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