チョコレートな君

□夢なら早く覚めて
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「選べ、ここに住むか殺されるか」
スキンヘッド男はあのやり取りについてしゃべられたら困るからなと笑った。


はい…?
暮らす…ここで……?
絶対に嫌、ってゆうか無理。
でも死ぬのはもっと無理。

「ここで…暮らします……」

そう言えざるを得ない。

スキンヘッド男はニヤリと笑う。
気が付いたら涙はもう止まっていた。
ここに来た時点でいろいろと覚悟はできてた。
この際、生きられるなら何でもいい!
もしかしたら逃げられるチャンスもあるかもしれないし!
私は気合を入れなおした。


「いい判断だ。それじゃあお前の世話役は…メロどうだ?」

スキンヘッド男はソファに座ると王子様の方を見る。
どうやらメロとは王子様のことらしい。
王子様は目だけで私を見ると次にスキンヘッド男の方を見た。
目つきが悪いせいか睨んでいるようにも見える。
いや、睨んでいるのだろう。


「悪い冗談はやめろ、ロッド」

パキッ

チョコが割れる音が部屋に響く。


「冗談なんかじゃない、歳的にも俺たちよりもメロの方が話しやすいだろう」

「……チッ」


話についていけない。
世話役って…私のことを世話してくれるつもりなのだろうか。
それならいっそのこと家に帰してほしい。

2人のやり取りを見ていると王子様が立ち上がって部屋から出て行く。
それを目で追っているとスキンヘッド男について行けと言われた。

…ここに住むわけだし言うことは聞いといたほうがいいよね。
私は何も言わずに立ち上がり足早に部屋を後にした。







なら早く覚めて






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