チョコレートな君

□自己紹介から始めませんか?
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「うそ…」

私は部屋の前で固まってしまった。
私の目の前にいる王子様はマフィアの人間で、これから同じ部屋に住む人。
…ありえない。


「しょうがないだろ、文句ならロッドに言え」

王子様は板チョコの銀紙をクシャクシャにしてゴミ箱へと投げ入れる。

「メロさんは嫌じゃないんですか?」

「メロでいい、敬語もやめろ」

「……メロは嫌じゃないの?私と同じ部屋で…」

「別に」


別にって…
仮にも男と女が同じ部屋なわけですよ。
何かあったらどうするんですかっ!

「安心しろ、名前には欲情しない」

メロはそう言ってイジワルそうに笑う。


よ、欲情って…
されたら困るけど、されなかったらされなかったでショックかも。
って、何考えてるんだ私。

両手でほっぺたをパチンと叩く。


「ベッドは1つしかないけど…どうするの?」

ほっぺたがジンジンと痛い。
強く叩きすぎたか。

「…さぁな」

「さぁなって…、」

「普通、名前がソファで俺がベッドだろ」

「…ひどい」

「ロッドにもう1つベットくれって言えばいい」

「無理だよ、…怖いもんあの人」

「名前はロッドに気に入られてる、大丈夫だ」

気に入られてなかったら、もう殺されてるだろうなと言ってメロは笑った。
気に入られてる…
私が?意味が分からない。

首をかしげているとメロが近づいてきて私の目の前で立ち止まる。
すると、メロの顔は私の耳元へ近づいてきて…

「なんなら、俺と一緒に寝るか?」

とんでもないことを言いやがった。
メロがフッと小さく笑うと首元にかかる息。
微かに匂うチョコレートの甘い香り。

それだけでドキドキしちゃう胸をグッとおさえる。

「あ、あのねっ…めろ」

「…?」




自己紹介から始めませんか?



「は…?」





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