チョコレートな君

□さぁ、白雪姫のような眠りを共に
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「おい、起きろ」

「ん…」

あれ、男の人の声…
私、1人暮らしだったよね…?
うっすらと目を開けると金髪の王子様…ではなく、メロ。

「あれ、私…」

「昨日、泣き疲れて寝たんだろ」

あぁ、思い出した。

眠たい目をこすって周りを見ると私はベッドの上にいた。
近くのソファを見ると布団が1枚あって誰かが寝ていた形跡がある。

チラッとメロを見るとがっつり目があって、今日だけだからなって睨まれた。
睨んでた顔は怖かったけど、本当は優しい人なのかもしれない。


「着替え、そこに置いといた」

メロが指さしたところは真っ赤なドレス。
手に取って見ると胸と太ももは大胆に開かれている。
とてもじゃないけど、私にこんな服は着れない。

「メロ、似合うと思う?」

ドレスを体にピタッとつけてメロの方を向くと

「いや、似合わない」

はっきりとそう言われた。

そんなにはっきり言うことないじゃん…
聞いた私が馬鹿だった。

「買い物に行くのもダメなの?」

「ダメだろうな」

「こんなドレス着たくない」

こんなドレス、普通の日に着るなんておかしい。
私はハリウッド女優じゃないんですよ。
私にはもっと地味な服でいい。

「ロッドに頼めばいいだろ」

メロはめんどくさそうにそう言った。
メロによると、私がロッドに頼めばロッドが他の人に言って買ってきてくれるらしい。
…まるでロッドが私のしもべのようだ。
こんなことを言ったら本当に殺されちゃいそうだけど。
やっぱりロッドに頼むしかないのか…
ため息を一つついたとき



トントン



ドアがノックされる音が響いた。

「入れ」

「…朝食を」

入ってきたのは黒人のがたいのいい男。
トレーを持っていてその上にはパンやスープなどがのっている。
男はチラッと私を見るとトレーごと私に差し出した。

「えっ……あの…?」

意味がわからず男を見る。

「ボスに言われて持ってきました」

男は何故か私に敬語で答える。

「あ、ありがとう…」

とりあえず、お礼を言って受け取ると男はヘヘッと笑って出て行った。

「メロ、朝ご飯だって」

トレーをソファに座っているメロのテーブルの前に置く。

「それ、お前の分」

そう言って、ポケットからチョコを取り出して食べ始める。

「メロは朝ご飯食べないの?」

「あぁ」

「少しくらい食べない?」

「いらない」

「……」

「…なんだよ」

無言でメロを見ていると睨まれた。

「…もしかして毒とか入ってる?」

トレーの上にあった真っ赤なリンゴを取って一口食べる。

「入ってない」

興味なさげに答えるメロ。

「…どうだか」

そう言って、またリンゴを一口食べる。

「…じゃあ試してみるか?」

「え…?――――っ!」

メロの顔が近づいてきて重なった唇。
舌が入ってくるとチョコの味も同時に入ってきてリンゴの酸味と混ざって気持ち悪い。
唇が離れると何もなかったかのようにメロはチョコを食べ始めた。



さぁ、白雪姫のような眠りを共に





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