チョコレートな君
□ファーストキスはレモンの味
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「ごちそうさまでした」
ふぅ……。
どうやら毒が入ってないのは本当だったらしい。
現在、私は生きてる。
ちなみに、この男も生きてる。
チョコを食べながら窓の外を見ていたメロが私の視線に気が付いたのかこっちを見る。
「…なんだよ」
「欲情しないって言ったじゃん」
「してないだろ」
誰がお前なんかに小さくそう呟いた。
お前なんかに…だとっ!?
「キス、してきたじゃん!」
「名前が毒がないかって疑ってたからだろ」
「それとどう関係してるのよっ」
「……」
メロはため息を吐くと説明をしてくれた。
つまり……
私がリンゴを食べる
↓
メロが私にキスする
(間接的にリンゴを食べる)
↓
2人とも元気
(毒ははいっていなかった)
ということらしい。
なるほど……じゃなくてっ!
「キスする必要ないじゃんっ!」
「キスぐらいでガタガタうるさい」
メロは耳を押さえてうるさいとジェスチャーしている。
「キスぐらいってどういうことよっ」
「イギリスではキスは挨拶みたいなもんだ」
「…イギリス育ちなの?」
「あぁ」
あぁ、どうりで髪の色も肌の色も…
それよりっ!
「私のファーストキス返してよっ」
「はぁ?ファーストキス?」
「そうよっ!ファーストキスだったのっ!」
すると、メロは本当に驚いたのか目が大きく開いた。
しかし、それは1秒もしないうちに普段通りに戻った。
そして、近づいてきて私の顎をつかんで自分の方に向かせると
「だから下手だったのか」
信じられないことを言いやがった。
マフィアの人たちと住むことになって2日目。
私はファーストキスを失いました。
ファーストキスはレモンの味
「嘘だったのね…」
「当たり前だ」
●●