チョコレートな君

□痛い視線にただ沈黙
1ページ/1ページ






「行くぞ」

「えっ、どこに?」

朝ご飯も食べ終わってしばらくしてからチョコを食べ終わったメロが立ち上がった。
ケータイを復元させることに集中していたためとても驚いてケータイを落としてしまった。

メロの方を向くと何も言わずに部屋から出て行こうとしている。


行くぞってことはついてこいってことだよね?


私は黙ってメロの後を追った。
すると、着いたのは初めて私が連れてこられた場所。
初めてメロと出会った場所。
そこには、ロッドもいて朝ご飯を持ってきてくれたがたいのいい男の人もいる。
高そうな黒いソファも健在だ。
どうやらここはリビングのような部屋ならしい。

メロが高そうな黒いソファへと行く。


来るんじゃなかった…
私、どうしてろって言うのよ…


1人で突っ立ったまま出入り口でテンパっていると

「おい、」

メロが私を呼ぶとソファをトントンと…蹴った。
意味がわからずにそのまま突っ立っている私に早くしろと脅してきた。
とりあえず、メロに近づくと無理矢理座らされた。
私が座るとメロは私の右隣の肘掛に座った。


「こっち空いてるけど…」

左側をポンポンって軽く叩く。

「いい」

あぁ、そうですか。
聞かなきゃよかった。

それより、やっぱこのソファ座り心地いいなぁ…
きっと何百万もするような私には一生買えないものだ。


「名前」

ソファにうっとりしているとメロから急に話しかけられた。

「ん、なに?」

「ロッドに言うことあったんだろ」


言うこと…?
あぁ、必要なものがあればロッドに言えって言ってたことか。
メロが言ってくれればいいのに…
自分で言うしかないのね…
決心がついてロッドの方を向くとこの部屋にいる全員の人が私に注目していた。

え……なに?

隣を見ると早く言えよというオーラを出しているメロ。
チラッと横を見ると怖そうなお兄さんが私を睨んでいる。
ロッドの隣の巨乳のお姉さんは「誰よあの子」とコソコソ話をしている。
もちろん、ロッドも何故かニヤリと笑いながら私を見ている。


この空気の中で言えって……私には無理ですよ、メロさん。
みんなからの視線が痛いもの。





痛い視線にただ沈黙





●●

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ