チョコレートな君

□友達
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「え、っと……あの…」

みんなの視線が痛い、痛すぎる。
特に隣のメロの視線。
撃たれたんじゃないかってくらい痛い、撃たれたことないけど。
すると、痺れを切らしたのか隣のメロから舌打ちが聞こえた。
ヤバい……もう言うしかない…。


「……ほ、欲しいものがあるんですけど」

声が震えてしまう。
オーラが怖い。
これがマフィアなんだ、あらためてそう思った。

「あぁ、なんだ?」

ロッドはニヤニヤ笑っている、私が部屋に入った時から。
私の様子を見ているのが楽しいらしい。


「ベッド……」

「あぁ?ベッドならメロの部屋はダブルベッドだったはずだろ?」


うん、そうだよ。
立派な高級そうなダブルベッドだったよ。
でも……

「同じベッドに寝るのは…ちょっと……」

「なら俺のベッドに来るか?」

可愛がってやるよそう言ってロッドは大きな声で笑った。


これが噂のアメリカンジョークなのか…
顔が引きつって上手く笑えない。
どうやら、ベッドはあきらめた方がいいらしい。

「あと、服も欲しいんですけど」

「服は用意してただろ」

「あんなの着れませんっ」

ベッドを諦めたとしても、服だけは諦めたくなかった。
あんなほとんど裸みたいなドレスでいるくらいなら毎日同じ服着てる方がマシだもん。

「どんなのがいいんだ?」

「どんなのって……もっと普通なやつ」

「あぁ?」

「も、もっと地味なやつ」

「そんなの俺にわかるわけないだろうが」

そう言うと、ロッドはテキーラを一気に飲み干した。

ですよね…
服の趣味って人それぞれですし、
毎日ゴージャスな服着てるあなたたちにはわからないでしょうね。
どうしたものか考えていると目の前に男の人が来て私に雑誌を差し出してきた。
それは若者の雑誌で少し派手だけど可愛い服がたくさん載っていた。

「好きな服があればこれから選べ」

「……ありがとうございます」

…意外だ。
ここに若者の雑誌があるのも意外だけどロッドが思ってたより優しい人なのに驚いた。
私がロッドに気に入られているってメロが言ってたけど嘘じゃないのかもしれない。

「他に欲しいものはないのか?」

「……」

これは無理だってわかってる。
欲しいってほど欲しいわけじゃない。
ただ、なんとなく。





友達





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