チョコレートな君

□話しかけるなの合図
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「友達」

私がそういうと部屋がシンとした。
みんな驚いた顔をしている、もちろんメロも。
やっぱりこの状況でこんなこと言うのはおかしかったか…

やっぱりなんでもない、そう言おうとした時。
ロッドが急に大きな声で笑い出した。


「面白い娘だ、メロが世話役なだけある」

ニヤリと笑うと今まで私に向けられていた視線がメロへと向けられた。

「…嫌味か、ロッド」

メロを見ると心底嫌そうな顔をして私を睨んでいた。

「安心しろ、誰にもお前には手を出さないように言ってある。
お前に悪いようにはしないだろう。
友達なら自分で見つけるんだな」

そう言うと、ロッドはまた大きな声で笑ってテキーラを飲み干した。

「欲しいものはそれだけか」

「…今のところは」

私がそういうと同時にメロが立ち上がった。

「いくぞ」そう言って私の手を取ってメロは出入り口へと早足で歩き出す。
どこへ連れて行かれるのかも分からないままロッドの方へと振り返るとやっぱり、笑っていた。


連れて行かれたのは私(私達)の部屋だった。
他にも怖いお兄さんがいる部屋につれて行かれると思っていた私は内心ホッとした。
……が、ホッとしたのも束の間で私は手を引っ張られて無理矢理ソファへと座らされるとメロは私の前に目線に合わせるようにしゃがんだ。


「な、なによ………」

「お前、本気で言ってんのか」

「何のはなし?」

「友達」


あぁ、そのはなしね。


「んー、まあまあ」

「こんな状況で友達が欲しいっておかしいだろ」

「かもね」

「……あんまり信用するなよ、いい奴らばかりとは限らない」

「それは、メロのことも含めて?」

「あぁ」

「ふーん……、わかった」


そう言うとメロは私から手を離してベッドへと寝転がった。


「……寝るの?」

「誰かさんのせいでよく眠れなかったんでな」

「私のせいみたいじゃん」

「名前のせいじゃないみたいじゃん」


メロは意地悪そうに私を見ると目を閉じた。




それは……
話しかけるなの合図




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