チョコレートな君

□素直に言えたよ
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「……、」


目が覚めると見たことがあるコンクリートの天井。


なんで私ここにいるんだろ…


「目、覚めたか?」

隣を見ると真っ直ぐに私を見ているメロがいた。

「私……、――っ!」


起き上がろうとするとお腹に激痛が走った。


「殴られたんだろ、おとなしく寝てろよ」

「なんで、私ここにいるの?」

「俺が運んできた」

「………そう」

「ありがとうの一言も無しかよ」

「せっかくの逃げられるチャンスだったのに」

「そうだったな」

素直じゃない私にメロは笑った。



「………」

「………」

「……、」

「すまなかった」

「ん?」

「俺は名前があいつらからいいように思われてないのは知っていた、名前が怪我したのは俺のせいだ」


さっきとは違って悲しそうに私を見るメロ。
何故かメロのその顔は私を苦しくさせた。


「……メロのせいじゃないよ」


"……あんまり信用するなよ、いい奴らばかりとは限らない"
あの言葉はメロが私を心配して言ってくれてたのに、それを聞かずにお姉さんについて行った私が悪い。


「殴られたとこ痛むか?」


メロは悲しい表情のままぎこちなく私のお腹へと触れた。


「うん、ちょっと」

「……そうか」

「……ねぇ、メロ?」

「…?」

「ありがと」




素直に言えたよ




「私ね、やっぱりメロっていい人なんだと思う」

「………どうだろな」

「友達になろうよ」

「……」

「…だめ?」

「……勝手にしろ」

「やったー!……痛ぁ…」

「大人しくできないのかよ」

「……できる」





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