チョコレートな君

□ドクロだけが私に笑いかける
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「……で、何で殴られたんだ」


何でって……そりゃあ………


「拳で殴られた」

「そういう意味じゃない」


パキッ
チョコレートが割れる音が部屋に響く。
メロの片手はまだ私のお腹の上に置かれてあって、痛いはずなのに不思議と痛みを感じなかった。


「どういう意味?」

「なんで避けなかったんだよ」

「あのね……、私だって一応女の子だよ?避けるなんてボクシングでもやってなきゃ無理だから」

「……それだけか?」

「うん」


大丈夫。
今までだってこうしてきた。
私のこの秘密は誰も知らない。
家族でさえも。


「……そうか」


私のお腹の上にあったメロの手がどいたかと思うとメロは立ち上がってスイッチを押して部屋の電気を消した。

え………?

突然のメロの行動にキョトンとしていると、だんだんとメロの足音が遠くなっているのがわかった。


「メロ……?」

「名前、俺は今何を持っている?」


……メロは薄々気が付いてるんだ、私の秘密に。
思い出せ、メロが何を持っていたのか。
メロがもっていたもの………チョコだ。


「チョコ?」

「違う」

「わ、わかるわけないじゃん部屋の中真っ暗なのに……」

「……わかった」


メロがため息交じりにそう言うのと、部屋の電気がつけられたのはほぼ同時だった。
ソファに座ってこっちを見ているメロを見て安心したのは一瞬。


メロが座っているソファの前には食べ終えてゴミとなってしまったチョコの包み紙。

そしてメロが持っていたものを見て何も言えなくなった。
メロが持っていたものは……


「……ノートパソコン」


メロが持っていたノートパソコンは開かれていてデスクトップにはドクロのマークが表示されていた。


「パソコンの光で部屋の中は真っ暗ではなかった」

「………」

「普通だったら見えてるはずだよな」

「………」


黙ったままうつむく私にメロはまたため息を吐いた。
バレてしまった私の秘密。
手が震えるのを必死でバレないように私は言う決意をした。



ドクロだけが私に笑いかける




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