チョコレートな君

□この気持ちは恋ですか?
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あれから順調に回復していった私は1週間もすればすっかり元気になった。

ベッドで寝たきりだった私は普通の生活にとても感動した。
マフィアのアジトに住んでいる時点で普通の生活とは言えないけど……。
それほど私もここでの暮らしに慣れたということなんだろう。
そう受け止めることにした。

そんなことより、私には今気になっていることがある。


「恋とは特定の異性を強く慕うこと。切なくなるほど好きになること……だってメロさん」


暇だったからロッドに本が欲しいと頼んだら来たコイツ。
日本人の私には必要ないと思ったけど意外と役に立つコイツ。
……国語辞典。
どっちかというと勉強嫌いな私は普段はこんなもの見ないけどメロが持ってろって真顔で言うから持ってる。
私が歩く国語辞典だと言われる日はそう遠くないだろう。



パラパラとめくると見つけた"恋"という文字。
近くにあったボールペンと紙に大きく恋と書いてメロに見せてみた。


「……字、間違えてる」

「えっ、どこ?」

「"恋"が"変"になってる」

「………」


見直してみるとたしかに"変"と書かれていた。
恋を変って書き間違えるって……。
我ながら悲しくなってきた。


「メロって漢字も読めるんだね」

「少なくとも、名前よりはな」

「うるさいっ」

「……で?」

「ん?」

「なんで、わざわざ俺に恋について言ったんだよ」

「ん………、あぁ」




この気持ちはですか?



「……名前、恋してんのか?」

「わかんないから聞いてるんじゃん」

「俺にわかるわけないだろ」

「むぅ……、エスパーメロにもわからないとは…」

「つか、誰に恋してんだよ」

「もうわかんないからいいっ!」

「……変な奴」

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