チョコレートな君

□何かが一瞬崩れた気がした
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「行くぞ」

「どこに?」

「ロッドのとこ」

「あぁ、うん」


欲しい服があったからちょうどいいや。
ゆっくりとソファから立ち上がる。

あれから何度かロッドのところへ行くと意外と仲良くなれた。
今ではもうタメ口で話しているほど。
最初のころの私に比べたらかなりの進歩だと思う。
……相変わらず、女の人たちとは仲良くなれそうにないけど。

ロッドのところへ行くって言ってもロッドの部屋に行くわけじゃない。
みんなが集まっているリビングに行くとロッドは必ずと言っていいほどいる。

今日もメロの後について行くと、やはりリビングへと到着した。
そして、私はもう私専用となってしまったソファの端へと座る。
メロも右隣の肘掛へと座る。
今までは私が今座っているところがメロが座るところだったらしいんだけど私が来てからはずっとそこへ座っているらしい。


「snakeはどうなった、ロッド」


最近、メロとロッドの話にはsnakeという単語しか出てこない。
メロから聞くとsnakeとはマフィアと敵対しているグループらしい。


「大丈夫だ、もうじき潰れるさ」


ハハッと大きな声で笑うと、ガンッとウイスキーが入っているコップを机に置く。
今日はかなり機嫌がいいらしい。


「……もう一度、襲撃をかけろ。完全に潰れたわけじゃないんだ」


機嫌がいいロッドとは裏腹に考えるように腕を組むメロ。
そして、話についていけない私。

どうしたものか考えていると奥の方に毎朝私にご飯を部屋まで届けてくれるお兄さんを発見。
ただ、ご飯を持ってきてくれるだけの関係でまだ普通の会話をしたことがない。

メロ、ロッドと話してるし……
あっちに行っててもいいよね。

立ち上がって行こうとすると突然腕をつかまれた。
掴まれている腕をたどってみると掴んでいたのはメロだった。


「どこ、行くんだよ」

「ちょっと奥に行ってみようかなって」

「座ってろ」

「でも……」

「………」


出た、無言の睨む攻撃。
手にはチョコ持ってて可愛いくせに顔は鬼のようだ。

睨み攻撃で私が勝てるはずもなく、私は大人しく座った。
すると、私たちの様子をずっと見ていたロッドが急に笑い出す。


「いい雰囲気じゃないか、メロ」

「そういうのじゃない」


睨む攻撃が次はロッドに向けられた。
だけど、かなりの酒を飲んだのかロッドはずっと笑ったままだ。


「世話係としてやってるだけだろ」


………何ソレ。




何かが一瞬で崩れた気がした

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