チョコレートな君

□いつもより不味いチョコレート
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「ロッド、名前に何言った」

「お前らは見てて飽きないって言っただけだ」


そう怒るなよ、ロッドは酒の入ったグラスを片手に笑った。


「………」

気に食わない。
名前をロッドと2人きりで話をさせるのですら嫌だったが……
やはり、ロッドのところへ行かせたのは間違いだったか。

無意識に手に力がはいったのかチョコレートが音をたてて割れる。


「名前に世話役を変えてくれと頼まれたぜ」

「変わるつもりはない」

「お前ならそう言うとおもったよ」

「……」

「名前は、お前に嫌われてるって勘違いしてるみたいだぞ」


あぁ、それで俺の優しさがどうだとか言ってたのか。

手の上でカケラとなってしまったチョコレートを舐める。
何故かいつもより甘い気がしないチョコレートは溶けてすぐに消えた。


「ロッド、約束は覚えてるだろうな?」

「あぁ、覚えているとも」

「……3日後だ」

「3日後?お前はそれでいいのか?」


良いに決まっている。
俺にとっても、あいつにとっても。


俺は少しだけ残っているいつもより不味いチョコレートを銀紙と一緒にグシャグシャにしてゴミ箱に投げる。
そのままゴミ箱にコツンと当たって銀紙はゴミ箱に入ることはなかった。


一瞬だけでも、今の俺のようだと思った自分に笑ってしまう。


ゆっくりと立ち上がると、ロッドが何かを言ったが俺は聞かなかった。


今は、あいつに会いたい。


ただ、それだけで。




いつもより不味いチョコレート

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