妄想白書

□とある放課後
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「おい」

帰り道、蔵馬は暗い裏路地の付近を通るのだが、たまたまそこでクラスメートの女子生徒数人が危ない男に囲まれているのを発見した。あまり目立ちたくないため、普段はあまり干渉しないようにしているのだが。

昨日の飛影の言葉。






好きだ、と

確かに言ってくれた。
一方通行だと思っていた想いは彼にいつの間にか通じていたのだ。

嬉しくて嬉しくて。


早い話、かなり浮かれていた。
だから普段しないような干渉までしてしまう。それに、幽助や桑原くんなら何も関係無しに助けに入る。
飛影は……最近の飛影なら、助けに入るかもしれない。


「み、南野くん!?」


女子生徒達が驚いた様な声を出す。片や不良男達は
あぁん、何だワレ。と時代おくれな返事を返してきた。

「何やコラ、ワレには関係無いじゃろが」
「貴様こいつらの何だ」
「やるかこのやろう」

はぁ……本当に最近の若者は口が悪くて困る。

助ける為にはこの若者達を追い払わなければ。殴ったりすれば、停学になって母さんを困らせるし、かと言って、口止めに殺す訳にもいかない。
「貴様、ですか……。知っていますか、昔は貴様とは目上の人に向かって使う言葉だったそうですよ」
「へぇ、そうなんだ!!さすが南野くん」
「きさ、お前は黙ってろ!!!!」
「きゃっ」

鼻ピアスをしたいかにも軽そうな男が女子生徒を叩く。その勢いで女子生徒は倒れてしまった。
「お前もいい加減にしろ、ぶん殴ってやる」
「ならおめぇはオレがぶん殴ってやる」
「はぁ?ぶごぉっ」

聞き慣れた声がしたと思ったら、その鼻ピアス男は一瞬にして凄い勢いで飛んでいき、壁にめり込んだ。

「な何を」
「おめぇもか」
「うがっ」
「おおお前、うらめ、うぐぅ」

三人の男は見事に一発で意識を飛ばし、そこにいたのは。

「幽助!!」
「よっ、蔵馬。久しぶり」
「えぇ、本当に久しぶりですね。今日は二人でデートですか?」

幽助の隣にはこれまた懐かしい顔が。

「まぁそんな所かな」
「蛍子てめぇ勝手な事」
「良いじゃない、別に」
「相変わらず仲が良いですね」

くすくすと笑ってそう言うと、幽助が柄にもなく真っ赤になる。

「ああの、南野くん?知り合い、なの、その……浦飯さんと」
「えぇそうですよ」
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