妄想白書

□real or fake?
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カーテンから柔らかな光が差し込む朝。いつもの日常の始まり。

「んー……」

思いっきりのびをして、ふぅと息をついて――。

「あれ?」

異変に気が付いた。
自分の上ですーすーと寝ている物体が。

赤ちゃん?
しかも、南野秀一?!

それだけでもびっくりなのだがその秀一ベビーはぱちりと目を開け、とんでもない事を言ってくれた。

「ふぁ?よーこたんぅおはお」
「よーこたん……?…………ぇ、えぇええぇえ?!」

なんと、妖狐蔵馬になっていたのである…………。




「よーこたん、おまんま」
「はいはい」
「よーこたん、おぇかき」
「はいはい」
「よーこたん、ももちゃ(おもちゃ)」
「……はいはい」
「よーこたん、ねんねー」
「…………そうだな、寝よう」

はぁ……疲れた。
何故か幼児化した南野秀一。
何故か妖狐蔵馬になったオレ。
何なんだ、一体。

幼児の世話というのは体力勝負ではない。気力勝負だという事をつくづく学んだ。
オレをここまで育ててくれた母に感謝。

しかし育児とは不思議なもので、段々母性愛がわいてきた。
寝息をたてているちび蔵馬の頬をすっと撫でると、にこりと笑顔をくれる。
見ているのは自分自身なのだから母性愛がわく理由が分からないけれど。

「こういうのも、良いかもな……」

柄にもなくそう思ってくる。
さて、そろそろオレも寝るか。

お休みちび蔵馬。





カーテンから柔らかな光が差し込む朝。本当のいつもの日常の始まり。
どうやらあれは夢だったらしい。ちょっと安心。

「んー……」

思いっきりのびをして、ふぅと息をついて――。

「あれ?」

異変に気づいた。
自分の上ですーすーと寝ている物体が。

赤ちゃん?
しかも、妖狐蔵馬?!
それだけでもびっくりなのだがその妖狐ベビーはぱちりと目を開け、朝の挨拶。

「ふぁ?おはよぁ、くらぁたん」

「おはよぁ、よーこたん」



「えぇええぇえ、ちび蔵馬とちび妖狐……かんべんしてくれ」




果たして、これは夢か現実か。



ちゃんちゃん♪

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