とある隠れ変態の物語

□何ですか、この展開
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「やば、シャープペン体育館に忘れた……」


時は放課後。場所は教室。
今日はたまたま筆記用具を忘れてしまった為、羽恋に貸してもらっていて、それをポケットにしまっていたのだが。
体育の時間に筆記用具を持って来いと言われていたので体育着のズボンにしまって……それから、体育館で使って、舞台の隅に置いたままだ。

ゆっくりとシャープペンの行方の記憶を追って、羽恋ごめん……と小さく呟いて体育館へと向かった。
現在羽恋はバイト許可願いを提出する為に、あちこちの先生のもとへスタンプラリーに行っていて、当分戻らない。
先に帰っててと言われていたから彼には謝れないけれど、せめて戻って来るまでに取りに行こう。


早足で向かって、中へと入る。舞台は緞帳(どんちょう)が閉まっている、って事は多分演劇部が練習に使っているのだろう。


練習中に申し訳ないけど仕方ないかな、と思いつつ、ストレッチをしているバスケ部の邪魔にならない様に隅を通り舞台へ歩いていく。
階段を上り、若干暑苦しい中へと入ると何故かむさ苦しい男子生徒が群がっていた。女子生徒もちらほら。
まぁ気になるは気になるが、そんな事よりシャープペン。


「すみません、シャープペンの忘れ物ありませんでした?」
「あっ、これですかぁー?」


舌っ足らずなしゃべり方をするショートヘアーの女子生徒が持っていたのは、装飾品の付いていない無難な物。

紛れもなく、探していたそれだ。


「はい。ありがとうございます」
「えっと、F組の真田先輩ですよねっ?」
「そうですけど?」
そう言うと何故か女子生徒から歓声があがる。


「ファンですっ!」
「かっこいい、うっそん」
「舞亜くんとセットじゃなないのが残念ね」


え?何でこうなっちゃうのっ?!
よく分からない。


「真田っ、貴様最近馴れ馴れしいぞ」
「…………は?」
「舞亜と馴れ馴れしいぞって言ってるんだー!!」
「ええぇええ!!!!」


状況が飲み込めない。
襟首を掴みあげてくる坊主頭と、品なんて全くない金髪頭が睨んでくる。


侑斗さんの柔らかな金髪とは大違い。
率直にそう思った。
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