とある隠れ変態の物語

□デジカメとドSとドM
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彼女が淹れてくれたのはアップルティー。他にも茶葉があると思っていたが無かったからこれでという事らしい。
「……美味しい」
「柚子さんはお茶を淹れるの、上手ですよね」
「あらありがとう。誉めたって何も出てきやしないわよ」


誉められ慣れているのだろう。
ぶっきらぼうにそう言って、紅茶を再びこくりと飲みだす。

カップを音も出さずに置く様子なんかはやはりお嬢様で、出来ればオレの中のお嬢様像をこのまま壊さないで欲しいのだが。


「それで?瑞穂は薫元会長にまた掘られてたのね」
「ぶっ」


やはり無理なようだ。
紅茶を吹き出さない様に口を抑えるのに必死なオレは、当然薫さんが瑞穂さんの唇にキスを落とした事に気付けなかった。
知ったのは、後日柚子さんのデジタルカメラを見せてもらった時。


「こいつが物欲しそうな顔してたからな」
「っ……薫さん、無理やりそうさせたのはあなたでしょう!!」
「ちょっと触ったら興奮しだしたのはどこのどいつだ、あ?」


泣き出しそうな瑞穂さんはとんでもない量の色香をむんむんと、多分無意識に放出させている。
亜麻色の髪を肩からすべらせて俯くその様子が気にくわなかったのか何なのか、指先でくいっと顎を上に向かせた。

「言いたい事があるなら言えよ、瑞穂。……言えないなら、無理やり言わせてやろうか?」
「か、か……かおるさっ」

瞳に涙をいっぱいためて泣くのを我慢するのとか、もうとてつもなくうふふな光景らしく、柚子さんがくすくす笑いながら撮影会開始。


いや、ね。らしくとか嘘ですごめんなさい。
オレも素敵だと思ってましたてゆーか思ってる!!
本来は止めないといけないのだろうが、今のオレには無理。
だって、だってさ!!
オレ、変態だよ、凄く。
自覚はしてるんだって。


そんな訳で。
止めません。


「ごめっなさい……許し「駄目だ。ろくに自分の言いたい事も言えない子には制裁が必要だよな?」

今夜はうちに来い。
“オレの気が済むまで”痛くしてやる。


耳元で囁く様に、誘惑する様に、薫さんは意地悪に言う。



ええええ、待って、その痛みに限界はあるの、無さそうな気がするのはオレだけっっ?!


「はい……。分かりました」
「よし」


いやいやいやいやいや!!!!
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