とある隠れ変態の物語

□それぞれの夜
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羽恋side


『あははっ、羽恋って寂しがりなの?』
「んっ……最近、尚輝とよく話すし、一緒にいるからな……夜、無性に寂しくなったりは……する」
『ふふ……羽恋は可愛いね』
電話先のその声にどきり、と心臓が鳴る。
尚輝にそう言われると、オレはいつもおかしくなる。
いつからかは……分からない。
分かっても意味無いしな。

それにな。尚輝に“恋愛感情”で好きだなんて言っても困らせるだけだろ?

だから、フタをする。
オレの訳分からない感情に。


「……尚輝は」


オレが好き?

そんな事、言える筈が無かった。
そんな事を言えば、尚輝は好きだよと言う。




――友達として。



オレはそんな答え、
求めてない。

だから言わない。


『うん?』
「……お休みなさい」
『お休み、羽恋。――あぁ、待って、まだ切らないで』
「な、何だ?」



好きだって、言って欲しい。たとえ、友達って意味でも、その言葉が欲しい。


先程とは明らかに矛盾した願い。

訳、分からない。




――ちゅ



『お休みのキス。何だか、今の羽恋おかしかったから。オレの出来るせめてもの慰め、かな』


「……っ……ありがと……」
震える声で必死に言葉を紡いで。


『羽恋……泣きたくなったら、いつでも電話して。何処にでも行くから、ね』
「ん……あ、ありが……と」


優しげな、愛しい声はお休み、羽恋。


何度も何度もオレの名前を読んで、慰めて、お休み、と言って。



そして。



『羽恋が大好きだよ』


とろけそうなほどに、甘く甘く囁いて、もう一度キスをくれた。










こんなの、反則だ。
……また、苦しくなっちゃうよ……。



尚輝side


はぁ〜。

ベッドでごろごろしていると、自然とため息が出た。
……羽恋が凄く可愛かった。


本当は、ぎゅーってしてちゅーして辱めてあげたいんだけどね?
会えないし、ちょっとおかしかったし。
んじゃ電話でいちゃいちゃ、ってのも何かあれかなって。

それにしてもさ。
薫さんと瑞穂さん……どうなっちゃったんだろ。

だって、あんな会話しちゃって。

薫さん鬼畜ドSだし、瑞穂さん信じられないドMだし。
いじめられてめちゃくちゃ喜んでたよ、瑞穂さん。
瑞穂さんファンが可哀想というか、どんな反応するのかぜひとも見てみたい!!!!
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