とある隠れ変態の物語

□ドSとドMの夜
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瑞穂side



比等学園は比成学園と違って寮生活が出来るようになっている。
薫と瑞穂は寮生活をしているので、うちに来いとはつまり部屋に来いという意味。

「お……おじゃまします」

薫さんには、七時きっかりに来いでないと焦らすと言われてしまったので、一秒単位もズレない様に部屋へと入った。


鍵は開けてある


愛想の欠片も無いメールの通り、ドアはあっさりと開いた。
けれど、薫さんの姿は見当たらない。


――じ、焦らしプレイもう始まってたりして?


「始まってねぇよ」
薫さんっ、何処にいたんですか!!
振り返り際にそう言おうとして。

「っ……!!」

無理だった。
あまりにも衝撃的な姿に言葉がつまる。


「か、おるさ……ん」
「何放心してんだよ」


薫さんは……


薫さんは……。



バスローブを着ていた。


「何でバスローブなんですか……」
「決まってるだろ、風呂だ風呂」


不意打ちだから、ほら不意打ちだから。
ときめいても、良いんですよね?

首筋を伝う雫。
濡れそぼった髪の毛。
相変わらず冷たい双眸。
がばりと開いた胸元。
余りの色香にくらくらします……。

どさりと本革のソファーに腰を下ろして、長く綺麗な脚を組む。
肩にかけているタオルでわしわしと深緑の髪を拭いている横に腰を下ろすと、何故か薫さんはとんとん、と指で自分の膝を指した。


「え?」
「座れ」


えっとつまり……


「オレの上に来い」


めめめめっそうも無い!!


「オレが来いつってんだから素直に聞きあがれ。そんなにオレが嫌いか」
「それは無いです!!」
「知ってるからさっさと来い」


ですよね、知ってますよねー……。

では無く。


「っ……」
そんな事しちゃったら……
オレは確実におかしくなります。薫さんは意地悪な顔してるんだろうな。
そう思ったのに。


薫さんは、悲しそうに整った顔を歪めていた。


……忘れてました。
あなたは凄く感情的な方でしたね。


「……何を躊躇してるんだ。オレがお前の気持ちを受け止めないからか」


違います。
オレの身勝手です。
それにオレは知ってます。
……あなたは、とても慎重な方だって。
“オレの為に”世間体を気にしている事だって知っています。
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