とある隠れ変態の物語
□最近みんな熱出すなぁ。
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午後はひたすらあらゆる教科のプリントをやらされた。
最近女子生徒が痴漢の被害に合う事が増えているらしく、先生達は緊急職員会議中である。もちろん監督の先生なんて誰一人としていない。それでも真剣にプリントに向かうのは、流石県下トップの進学校と言える。
比等と比成の違いは寮が有るか無いかだけでは無い。
進学校か進学校で無いかにもある。
教室に響くのは時計の針の音とシャープペンシルをカリカリやる音のみ。
疲れたな……。
そんな中、呑気にあくびなんかをしているのは尚輝である。
束で出されたプリントをとっくに終わらせて、やること無いなぁどうしよう、問題が解けなくて焦っている人が知ったら睨まれそうなことをぐうたら考えていた。
銀縁の眼鏡をかちゃりと押し上げてペン回しをし始める。
土曜日、楽しみだな。
羽恋とは最近よく遊ぶけど、キスの約束は初めてだし。いや、当たり前なんだけどね?
どんな反応するかな?
可愛く喘いでくれたら嬉しいけど本人には言えないし。成り行きに任せるしか無い。
とりあえずさっきの反応で感度が良いのはよっく分かった。
まぁ行ける所までは行かせてもらうけどね。
「すーすー……」
そんなこんな考えていると羽恋が小さな息使いが聞こえる。
どうやら完全におねむの世界に行ってしまったらしい。
「んむむ……」
どうしょう。
寝顔見たいかも……。
思わず舌なめずりをしてしまう。
よっし、我慢はやーめよ。
という事で、少しだけ身をのりだして覗き込む。
どんなかなぁ、きっと可愛いよなぁ……。
え………………?
羽恋?
何故かそこには、真っ赤になって泣き出しそうな羽恋。
嫌な予感がする。
不安にかられてがたんと席を立ちおでこに触れる。
「熱い……」
おでこも、手も脚も熱い。
全部全部熱い。
羽恋は凄い熱だった。
「保健室行こう」
「でも……」
「でもじゃ無いよ」
「……でもプリントが」
「羽恋、殆ど終わってる」
「違う。尚輝がっ……」
尚輝が、先生に怒られちゃったら……。
参ったな、こんな時まで人の心配?
んー……本当はこんなえらっそうな事言いたくないけど。
納得させるためなら。
「羽恋、オレを誰だと思ってるの」
「ふあっ……無駄な心配でした」