とある隠れ変態の物語

□アフターイベントは保健室☆
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「真田、と……舞亜か。どうした」
「羽恋が凄い熱出したから連れてきたんです」
「ほぉ……そうか」
保健室の志摩先生はベッドをぽんぽんとやって座れよとすすめる。すすめられるがままに羽恋を姫抱きしたまま腰をおろすと、体温計をぶん投げてきた。
「志摩先生、危ないです」
「体温計ってやれ」
無視かいな。
まぁこういう人だよね。
志摩先生はセミロングのくせっ毛栗毛をポニーテールにまとめて体調確認の用紙を出した。
しなやかな指も動作も素敵な美人先生。結構ツボだったりする。
「なぁ真田」
「何ですか」
「舞亜とそういう関係なのか」
「ぶはっ?!」
何を言い出すかと思ったらこの人は。
「あっはんは済ませたの?」
「いやいやいや何でそうなるんですか」
「だってお前手早そうなんだもん」
大当たりです。
流石スペシャリスト。
……じゃなくて。
「そんな関係じゃありませんよ。何でそうなるんですか。……羽恋、熱計るね」
「……ん、ありがと……」
ワイシャツのボタンを上から三つ解放して体温計のスイッチオン。脇の下にするりと滑り込ませて腕をおさえる。
羽恋の小さなごめんなさいの声に笑顔と頭を撫でる事で応えて、志摩先生の言葉を待つ。
羽恋の少し白めで柔らかな肌が物凄くいろんな意味で目の毒だけど我慢する。触りたいけど我慢する。すっごく我慢する。
「だって校内で有名じゃねえかよ。真田と舞亜が最近凄く仲良いって。そういうのが好きなタイプの女子がかなり騒いでっぞ」
……知らなかった。
「でも仲良いって言えば先代生徒会長と現代生徒会長もじゃないですか」
「まぁな。でもあいつらいちゃつかねぇもん」
確かにそうかも。
「つまんねぇ」
「生徒を不純な目で見ないで下さい」
ふと体温計を見ると、数字がぐんぐん上昇していく。
37.5 37.8 38.1 38.3……
「気にしてるのか」
「何をですか」
「性別を」
「………………」
つくづく分からない人だなぁ。
「好きになった相手が同性だから気にしてるのか」
「……はい?」
「そうかそんなに気にしてるんだな」
だから何でこの方は人の話し聞かないかな。
「好きなら性別の壁なんてたいしたこと無いだろうがよ」
「いえ大分たいしたことです」
だからオレは悩んでるんだし。好きになるのが必ず男だから。
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