とある隠れ変態の物語

□羽恋とデート、女の子の部
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「もちろん、お客様には非公認だけどね」


なるほど、内緒で女装って事。


「彼女の事は内緒にしといてあげる。その代わり、彼女さん、いつか一日だけ貸してくれない?」
「どうして?」
「スタイル良いし。稼げると思うよ」
「嫌って言ったら、バラすんだね」


ばちばちっと火花が二人の間で炸裂する。
この子なら確実にバラす。そう感じたから、きっと睨みつけると、彼は代わりに黒い笑顔で対応してきた。

とんでもない子だ。


「出来れば貸して欲しいかな」
「……いいよ」
「っ羽恋……」
オレの胸元に押し付けていた顔を上げて、にこりと弱々しく微笑む。


「あれ、君はF組の舞亜さん……」
「だから、尚輝を困らせるな。オレはどうなっても良いからっ」
「羽恋……勝手な事言わないで。それじゃあ羽恋が困るでしょ」
「こんな格好してたオレが悪いんだよ、似合いもしないのに。よく考えたら、こんなのおかしいのにオレが勝手に」
「言うな……。おかしくないよって言ったら、今度はオレがおかしいけどね。でも、羽恋は可愛いよ。いや、男に可愛いはおかしいけど……。参ったな、オレが混乱してきた」


あはははっ
こっちは本気で困ってるのに、伊沢くんは声をあげて笑い出した。


「いやぁ、らぶらぶだね。分かったよ、それに免じて無条件で内緒にしたげる」

にこにこしあがって。
むかつく。


今度こそじゃあね、それだけ言い残して彼は立ち去った。本当むかつく。


「羽恋、危険だからオレっ家行こう」
「でも、女装やめれば」
「勿体ない」


羽恋の言葉を遮って、いざお持ち帰り。
抱くのは我慢するけど、恋人同士としてのイベントを少し位、ね?
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